内容説明
あの真っ暗闇の奥から、何かが私を凝っと覗いている!
ホラーミステリーの旗手による新シリーズ、ここに開幕。
戦後まもない混乱期。
主人公の物理波矢多(もとろい・はやた)は満洲の建国大学から日本に帰国し、足の向くままに北九州の炭鉱で炭坑夫となって働き始める。
波矢多は同じ炭鉱で働く美青年・合里光範(あいざと・みつる)と意気投するが、彼もまた朝鮮人の友を過酷な労働に従事させた過去に罪悪感を負っていた。
やがて同室の合里が落盤事故で坑道に取り残されたのを皮切りに、炭坑夫が次々と自室で注連縄で首を括るという、不気味な連続怪死事件に遭遇する。
現場からはいつも、黒い狐の面をかぶった人影が立ち去るのが目撃され……。
敗戦に志を折られた波矢多は、相次ぐ変死体と“狐面の女”の謎を解けるのか。
細密な炭坑の描写の中から、じわじわと迫ってくる恐怖と連続する密室殺人の謎。
本格ミステリとホラーの魅力を併せ持った、著者の本領発揮の傑作長篇。
解説・辻真先
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
オーウェン
53
三津田さんの新たなる探偵物理波矢多のシリーズ第1弾。 言耶と大きく違うのは舞台が炭鉱という場所。 戦後の影響が色濃く残るこの閉じられた場所で、朝鮮人との出会いから、連続殺人の幕が上がる。 炭鉱での怪奇話がそのまま謎に結びついていき、狐の面をかぶった人物が悉く殺人現場で目撃されていく。 自殺に見せかけた殺人だったり、現場が常に密室という謎にも波矢多はしっかりと蹴りをつける。 終盤は手記によって犯人への手がかりが明らかになり解決となる。 意外な犯人像もよく練られており、第2弾も楽しみなシリーズ。2026/04/28
眠る山猫屋
51
戦後の騒乱覚め遣らぬ時期、満州の理想を失った物理波矢多(もとろい・はやた)は九州で炭坑夫となる。各地の炭坑に伝わる奇怪な黒い狐面の美女の幻影。戦中の炭坑の悲惨な環境と半島から連れてこられた朝鮮人労働者たちに対する激烈な差別。このふたつの黒い歴史が奇怪な連続殺人を産む。うっすらと知ってはいても、歴史的事実を突き詰められると、現在の日韓関係の混迷も否定できなくなる。恨みは言葉で片付けられるものではないのだから。全ての日本人が加害者ではなかったとしても。そして事態を混迷に導いた黒い狐面の美女とは誰だったのか。2019/12/19
ドアラ竜の壁
49
三津田信三さん、待望の新シリーズ開幕という帯に惹かれて手に取った一冊。舞台は戦後日本の炭鉱。そこで起こる注連縄連続殺人。炭鉱用語とでもいうのか聞き慣れない用語も多かった。戦前、戦後の日本の闇を覗いたような気がする。2022/03/13
MATSU
39
死相学探偵を読んでいたので、気になって購入。まず私には時代背景が難しい。でも、それを感じさせないくらい読みやすいけど、長かった。ホラーはほぼなかったと思います。ミステリーに少しホラー。狐の面の女は?炭鉱の真っ暗闇とか想像するだけで怖いですし、狐の面も恐怖の対象です。ただこの話はこの時代背景でないといけないと思います。シリーズででているのでしばらくしたら続きを読もうと思います。今月中に読み終えて良かった😅2022/08/31
ミンティア
32
ちょっと、ホラー少な目のミステリ小説。ホラー3:ミステリー7ぐらいの割合でしょうか。三津田信三らしいゾッとする上質なホラーミステリでした。刀城シリーズとはまた別のシリーズ作品。敗戦後の日本の炭鉱について、とても詳しく書いており、その時勢が良く分かりました。その敗戦にショックを受けた物理波矢多が本作の主人公。エリートでありながら波矢多はわざわざ底辺ともいえる炭坑夫で働く事を選び、毎日死と隣り合わせの炭鉱へ潜っていきます。なんで、わざわざそんな場所で働くのか・・・・・・?それにもちゃんとした理由があるのです。2019/12/09
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