内容説明
音大生・仁木悦子と植物学専攻の雄太郎は、探偵マニアの兄妹だ。欧州旅行中の水原夫妻に邸の留守を頼まれているが、ある夜に怪電話がかかり、女の悲鳴とともに電話は切れる。そして「林の中の……」という電話の声を頼りに探し当てたその家には、血に染った女性の遺体が……。難事件に挑む兄妹探偵の推理が、知的興奮を誘う傑作ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Yu。
25
おもしろい!練りに練られ繋がる拡がる大賑わいな相関図。。。そのしっかりな構成と張り巡らせた精密なトラップの効きとが密度の濃いミステリを生み出すという本作は前作に勝るとも劣らず完成度が高い。2016/09/02
kinshirinshi
16
二木兄妹シリーズ長編第二作。二木悦子さんの作品は、主人公がおっとりとしていて人好きがし、昭和の推理小説にありがちな扇情的な側面もないので、いつも安心して読んでいられる。ただ推理小説としては、第一作の『猫は知っていた』の方が面白かった。今回は、電話の件やパジャマの謎など、細かいトリックはよくできているのだが、全体としては冗長な印象を受けた(タイトルも凡庸)。登場人物の数を減らして、もっとすっきりとまとめられたのではないかと思う。でもやはり、このシリーズのほのぼのとノスタルジックな魅力には抗いがたい(笑)。2022/02/03
みのにゃー
9
処分前の再読。今のミステリと比べると、かなりほのぼのしてる気が。もちろん起こっているのは殺人事件なんだけど、探偵役があの兄妹だからか。植物学を専攻している兄がホームズ、音大に行っている妹がワトソン役。ゴボウとカボチャ。子どもに優しい眼差しを感じるところが仁木悦子さんらしい。2019/04/25
ボブ
8
登場人物も多く、犯行現場も人が入り乱れて、でも解決場面でスッキリ解きほぐされる、動機も納得できます、地味な作品ですが推理小説の醍醐味を充分堪能できました。アガサ・クリスティみたい作風だと感じました。2023/10/13
はんげつ
5
事件関係者たちの複雑な相関を掴むのにかなり苦労するものの、解決篇では絡み合った糸をスルスルとほどいてくれる。ただ、ある人物を犯人とする根拠の数々がどれも完全強固なものではなく、またそれほどエキサイティングには感じられなかった。むしろ、解決篇の前に披露される幼児誘拐や電話に関する推理の方が面白く映ったので、全体的にちぐはぐな印象だった。2018/12/12