未来の戦死に向き合うためのノート

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未来の戦死に向き合うためのノート

  • 著者名:井上義和【著】
  • 価格 ¥1,760(本体¥1,600)
  • 創元社(2019/03発売)
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  • ISBN:9784422300726

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内容説明

「戦死はありえない」という建て前のもと、市民社会にとって異質な存在、すなわち非合理な犠牲を要求せざるを得ない自衛隊員を直視せず、経済的な繁栄を享受してきた日本。しかし、近年のなし崩し的な制度改変によって、「戦死にどう向き合うか」が、もはや先延ばしにはできない課題として浮上してきている。ゴジラ論や特攻の自己啓発受容など、著者独自の現代日本社会分析を織り込みながら、未来を語る言葉を鍛えるためのノート。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

36
朝日新聞の書評で取り上げられていた。一番驚いたのは、特攻隊の基地だった鹿児島県の知覧が一大自己啓発スポット(カツ入れの場)になっていること。合宿や社員研修などで使われているんだそうな。これは単純な右傾化ではなく、戦後74年が過ぎて歴史認識が脱文脈化したため。知識と感情の乖離だというのが著者の主張。たしかに説得力はある。ますます戦争を知る世代が少なくなっていく中で、いかに記憶を継承していくのか。遺志を冷静に受容できるか。その難しさの一端のように感じます。2019/09/06

Toska

7
日本人が戦死する/させられる可能性を論じておくべき、という主張には同意できる。ただその背景として、戦後の日本が戦死について考えることを「抑圧してきた」かのような前提が引っかかってしまい、どうにも入り込めなかった。文字通り目の前で無残な戦死の実態を見せつけられたからこそ、戦後日本では平和運動が一定の広まりを見せたのではなかったか。これを十把一絡げに「思考停止」「向き合わなかった」云々と決めつけるのは、それこそ日本史上最大の自虐ではないのかと疑ってしまう。2022/07/27

ichigomonogatari

6
集団的自衛権の行使容認や安保関連法制定に伴って、日本人(ほぼ自衛隊員)が戦死する可能性が大きくなった。今まで向き合ってこなかった戦死について、私たちは真剣に考えなくてはならないのでは、と著者は問いかける。一方で、2000年ごろから、日本で知覧を訪れ特攻の歴史を自己啓発に使うという動きが増えてきている。歴史認識から離れたところで大きく揺さぶられる感情、それが次の戦争への動機付けに悪用されてはいけない。戦争をしたいわけではない、でも、戦死を宙吊りにしたくないというパラドックス的な問題。2019/08/24

itchie

5
早田ひな選手の「特攻資料館に行きたい」発言を考える。「生きていること、そして、卓球ができることが当たり前ではないということを感じたい」といった自己啓発的な理由で知覧を訪れるスポーツ選手はほかにも多数いて、知覧で自己啓発セミナーの開催も相次いでいる。「感謝・利他・継承のセットを、論理的一貫性をもって体得させる」特攻隊員の物語は「自己啓発の有効成分を濃縮した超強力カプセル」だから。分析は的を射ているが、特攻ばかりがフォーカスされることで先の戦争の加害の側面が見過ごされることに対し、著者の警戒心が低すぎる。2024/08/16

ミッキー

4
経験、知識には感情が伴う。そして、その背景は時代による正誤までつく。そして、それらが同一である内は良いが分離してしまった時、どう対処するのか。注意すべき視点が提示されます。参考になります。2019/07/13

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