創元推理文庫<br> リガの犬たち

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創元推理文庫
リガの犬たち

  • ISBN:9784488209032

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内容説明

スウェーデン南部の海岸に、一艘のゴムボートが流れ着いた。中には、二人の男の死体が抱き合うように横たわっていた。共に射殺。身に付けた高価なスーツからするに漁師や船員ではなさそうだったが、身元を示すような物は何もなく、ボートには製造元すら書かれていなかった。彼らはいったい何者なのか? 検死医の報告によれば、どうやら海の向こう、ソ連か東欧の人間らしいのだが……。小さな田舎町の刑事に過ぎないヴァランダーは、思いもよらない形でこの国境を超えた事件の主役を演じることになるのだった! 話題のスウェーデン警察小説、第2弾。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

152
ベルリンの壁崩壊後も、バルト三国を支配下に置いたままにすべくソビエトが力を緩めようとしなかった頃、ラトヴィアでは、既得権益を持つ手段を選ばない勢力と自由を求める力とがせめぎ合っていた。ラトヴィアはスウェーデンからそれほど離れてはいないが、当時の二国間の生活や自由の違いは甚だい。まさにそれが描かれており、得体の知れない社会主義国家の思想や体制と直面することになったヴァランダーの困惑や恐怖は生々しい。しかし...、彼の女性への傾倒は、刑事モノであればお決まり事とは言え、かなりの興醒めであり、それが残念 。2018/06/30

巨峰

87
クルト・ヴァランダー警部第2作。今作はスケールが大きいぞ。スウェーデンの海岸に流れ着いた救命いかだの乗っていた二人の男の射殺体。その遺体は共産国ラトヴィアの住民のものだった。捜査のためにラトヴィアから、捜査官リエパ中佐からやってくるのだが。前半はスウェーデン、後半はラトヴィアに舞台が移る。特に90年代初頭の崩壊間際の共産全体主義国家ラトヴィアの社会が怖いです。スリリングです。当時の北欧・東欧情勢も興味深い。前作よりはるかにパワーアップして面白かったです。2018/10/14

NAO

86
【戌年に犬の本】ソビエトが崩壊し、自由の波が押し寄せたラトヴィア。だが、それは危険な波でもあり、ラトヴィアでは、陰謀が渦巻く暗黒部分が人々の暮らしを圧迫している。対岸で平和に暮らしているスウェーデン人警官が、そのラトヴィアの危うさの中で巨悪に挑む無謀さがたまらない。「犬」とは過去のラトヴィアの秘密警察員のことを表しているのだが、要所要所に、犬を連れた人物が配されている。2018/06/10

KAZOO

78
「殺人者の顔」に引き続いてのヘンケルの作品です。ラトビアから依頼されて協力したりしますが、007の話をもう少し下世話にしたような感じです。最後の最後までどんでん返しがあったり、艶話的な要素も織り込んでサービス満点です。北欧の警察小説というのは読んでいてかなりきっちりと書き込んでいる気がしました。2015/03/18

キムチ27

71
小さな島国にいると世界の細部には疎い。バルト3国の一つラトヴィアは真に。支配国ソ連より1991年独立。この作品は直後間なしに書かれた。頁背後にある空気は感じたことのないような色彩、温度感。マンケル曰く、クーデターが起きた・・又起きる、起こりうると。彼ならではの自由発想で描いた素晴らしい作品。時折、故リードヴェリの教訓を呟き、過労とストレスで打ちのめされ。でも警官という仕事に計り知れぬ誇りを持つ。前作でアネッテに失恋したにも懲りず、今回も未亡人に恋慕。余りにも人間的な行動を無謀とも思わず、読みこんでしまった2019/09/11

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