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内容説明
サメもヒトもアザラシも、生物はなぜこんなにも多様に進化したのか――その謎を解く鍵は「体温」にあった。気鋭の生物学者が世界各地でのフィールドワークを通し、壮大なメカニズムに迫る!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホークス
48
2019年刊。小型の記録計を取り付ける手法を使い、ペンギン、サメ、アザラシなどの生態を調べる。著者の目的は、動物共通の法則を確かめる事。400年生きるニシオンデンザメから短命なミドリムシまで、重量と体温の二つをキーに見れば、単位あたりの代謝量は同じ。ゾウとネズミ、人間なら大人と子供の「時間感覚の違い」も、この法則で説明できる。半ば物理の問題だけど、丁寧な解説のお陰で一応理解できた。生き物好きではないのに極地まで赴き、サメやペンギンに抱きつく著者は、見上げた学者魂の持ち主。現地のよもやま話がとても面白かった2021/04/03
ころこ
41
何となく読んでみた本が自分の関心に近いところにありました。体の大きさと体温が決まればエネルギー消費量が決まり、それに応じて生活スタイルが決まり、成長速度が決まり、寿命が決まり、進化のスピードが決まる。生態学の代謝量理論だそうです。自然は多様性だというけれども、実は人間が認識する少数の原理によって成り立っていることを強調しています。実際に万事がそうだというのではなく、自然をありのままみることが出来そうな分野だからこそ、「視点の高度」という表現で、人間がそれをどうみるかにこだわる態度は非常に知的だと思います。2021/07/29
七月せら
24
恐竜の血は温かかったのか冷たかったのか。年をとるほどに時間の流れが加速して感じるのは何故なのか。そんな素朴で魅力的な疑問は、究極には「地球上には何故これだけ多くの大きさ、体温、寿命のバリエーションに富んだ生物が繁栄しているのか」という壮大なミステリーに通じている。人工衛星の視点から自然界を俯瞰し、例外だらけの動物の行動も物理の法則をもって解釈することで見えてくる、自然界を貫く法則。フィールドワークの体験談は冒険小説のように、難しい数式や法則の話は入門書よりなお分かりやすく、文句なしに面白い本でした。2019/08/22
もえたく
21
「年をとると時間の流れが早く感じる」のは、北極の深海で400年生きる巨大なニシオンデンザメの生態などの例に挙げ「代謝量の変化」で説明され、納得することしきり。過酷なフィールドワークの面白ハプニングと、バイオロギングによる最新の研究成果を織り交ぜながら、物理学も優しく解説してくれて読みやすい。こういう研究者が沢山出てくると、子供達も理科好きになると思いました。2020/02/15
鯖
20
生物の代謝量は体重と温度により決定されるという研究を続ける著者が世界各地でフィールドワークと実験観察を行うレポ本。ウォッカ足りなくてエチルにバイカル湖のキンキン氷水入れて飲まされたり、南極の超低温では排泄物が全く分解されなかったり、400歳くらい生きるニシオンデンザメのオンデンは稀少すぎるため隠田から取られて、瞳からはほぼ寄生虫がぶらさがってたり、睡眠は脳の回復だけでなく身体のエネルギーの節約のためだったり、無防備な魚の卵は早く孵化した方がいいから鮭はベーリング海から南下し産卵したりする。めっちゃ面白い。2025/04/02