内容説明
冬がすぐそこまで迫る頃。昼間営業に戻ったユウの店は実に穏やかだった。気がかりなのは、治療魔術師になるための勉強で忙しいリナリアとの空いた距離。そんな折、次々とユウにチェスの勝負をしかけてくる輩が現れ?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スズ
42
アイナから異世界の文字の読み書きを教わる事になったユウが、町で爆発的に流行るアレヒンのチェスの駒を手にした事で騒動に巻き込まれていく第5巻。貴族系ヒロインには付き物の強制的な結婚を諦観のまま受け入れようとしていたアイナを守る為にチェス勝負に挑むユウの決意に賞賛を。リナリアとの別れが近づき寂しさを感じるのですが、物語全体に優しく灯っている暖かさと冬の隙間風のような寒さにも似た寂寥感が見事に調和していて非常に読みやすい。暖炉前で丸くなるノルトリに癒されつつ、暖炉の火でソーセージを炙る飯テロ描写にお腹が鳴りそう2019/09/20
星野流人
37
秋になり、昼営業に戻った喫茶店にて、アイナとチェス駒にまつわる物語。リナリアもいいけどアイナもね、とばかりに怒涛の勢いでかわいいアイナが供給されまくって凄かったです。これまで明るく振る舞っていたアイナですが、貴族の娘らしく悩む彼女と、彼女のために一肌脱ぐユウくんがカッコよくて良かったですね。 明確に前の世界で暮らしていた頃の知り合いの姿が描かれたのも、印象的でした。ユウくん……帰るのか? 学校サボって暖炉の前で寝続け、ストーリーに絡むでもなくただただ可愛さを振りまくノルトリは、完全にマスコットキャラでした2024/11/02
オセロ
31
歌姫ティセが迷宮都市から去り、通常営業となったユウの喫茶店。ティセからの手紙に返事をする為にアイナに文字を教わるうちにとある芸術家が作ったチェスセットを巡ってアイナが貴族としての役割を果たそうとしていることを知ったユウはある決断を迫られる…。 コルレオーネさんの過去エピソードや飯テロを挟みながら、アイナの夢とリナリアの願いのどちらの選択を迫らたユウ。どちらを選ぶのかが正しかったのかは分かりませんが、アイナの祖父の気持ちはグッときましたね。さて、この物語がどんな結末を迎えるのか、次巻も楽しみです。 2023/05/19
まりも
31
リリアナと会えない日が増えていく中、アンナの縁談話が持ち上がるシリーズ第5弾。この作品を読み終わった後はいつも優しい気持ちになれるから好きだ。さながら作中にも出てくる暖炉のような柔らかな温もりをくれる。主役のユウの変化を楽しみつつ、炬燵の中で丸くなる猫の如き愛らしさのマスコットキャラノルトラ。登場シーンは少ないながらも正妻的ポジションとして確固たる地位を築いたリナリア。そして今回ユウの友人としてヒロインとして物語の中核を担ったアイナ。キャラがみんな魅力的だから何気ないひと時がこんなに沁みるんだろうな。2019/02/24
和尚
23
今巻も良かった、一つ一つの話がどれも好き。 ユウの諦観が姿を見せてきましたね。良い。 本筋のチェスは、ケレスさんが出てきたタイミングでなるほどとなりながら、勝負もユウの矜持が見えて良かった。 ああ、そして、こんなにも良い物語なのに後一冊しかないのか。名残惜しいながら六巻に進みます。2025/07/10