内容説明
萩焼の窯元に代々秘蔵されてきた、古萩「白虎」。凶々しい伝説に包まれた名器が歴史の闇から浮かび上がった時、惨劇は始まった。表題作「鬼恋童」の焼物、「阿修羅花伝」の能面、「炎帝よ叫べ」の隈取り――伝統の美に囚われた人たちは、官能の暗い情動のままに破滅への道をひた走る。耽美派の鬼才が描く妖美世界。めくるめく伝奇ロマン、赤江文学の傑作5編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
59
「阿修羅花伝」、「炎帝よ、叫べ」は既読。赤江瀑作品は、まるで弟に恋しているかのような愛情を持つ姉と姉の幸せを考えつつも美の狂気の淵に佇む一途な弟を描くことが多いのに気づく。「闇絵黒髪」もその一つだろう。しかし、野浜の性格にはイライラさせ通し。お前、何、素知らぬ顔してんだよ。「寝室のアダム」は芸術の淫に執着する男に呆れながらも自身の淫乱に忠実故に簡単に美を壊すことを考える美代子と女を抱きながらも芸術の淫を待ちわびる辰彦らの対比が鮮やか。2016/11/18
みにょん
7
暑くなって赤江を読みたくなった。2021/07/19
MIRACLE
2
◯。「寝室のアダム」「闇絵黒髪」がよかった。「鬼恋童」は主人公の勘違いを引き金にした分、物語が弱くなってしまった。「炎帝よ叫べ」も処理が甘い(特定人物に負荷をかけすぎて、不自然)。「阿修羅花」は春睦・雪政コンビの作品(春睦がますます頑固になったような印象)。赤江の作品は、理屈では通らないことがまかり通るので、読んでいて怖くなる。著者の妄念で小説の空間が歪(ひず)んでいる。そのため登場人物はことごとく凶気に陥り、自滅へむかう。2011/04/04
漣漣
1
表紙絵のジュサブローの人形が好き
丰
0
Y-202005/09/29