内容説明
九州豊前、小竹藩の勘定奉行・澤井家の志桜里(しおり)は嫁いで三年、子供が出来ず、実家に戻されていた。ある日、隣家に「抜かずの半五郎」と呼ばれる藩士が越してくる。太刀の鍔(つば)と栗形(くりかた)を紐で結び封印していた。澤井家の中庭の辛夷の花をめぐり、半五郎と志桜里の心が通う。折しも小竹藩では、藩主と家老三家の間で主導権争いが激化していた。大切な人を守るため、抜かずの半五郎が太刀を抜く!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
海猫
78
お話は決して大きくはないが、それがむしろ人の思いの機微を繊細に浮かび上がらせて読ませる。ストーリーもかなりシンプルなのに、思惑の絡みようが複雑で一筋縄ではいかない人間ドラマが展開。現代人とは違う、昔の人の価値観や人物像が良く描けているのも効果的。クライマックスには激しい剣戟場面はあるものの、全体としてはしっとりとした印象が残る。「辛夷の花」というタイトルが後になるほど味わいが出てくる。2019/03/03
優希
53
辛夷の花のように惹かれあっていくしおりと半五郎。儚くも強いその想いはひたすら相手を想うだけではないのですね。2人の掛け合いがあたたかく気持ち良かったです。窮地に立たされることあれど、大切な人を守るために太刀を握る半五郎に惚れそうになりました。凛とした想いの強さを感じる作品でした。2023/01/22
優希
45
辛夷の花のように清らかな時代小説でした。半五郎と志桜里の心が通い合っていく様子が美しかったです。2021/12/11
Gotoran
34
九州豊前小竹藩勘定奉行澤井家の志桜里は嫁いで三年だが、子に恵まれず、実家に帰される。ある日、隣に「抜かずの半五郎」と呼ばれる藩士が越してくる。太刀の鍔と栗形を紐で括り封印していた。澤井家中庭の辛夷の花を介して、半五郎と志桜里の心が通う。藩主と勘定奉行澤井家派と家老職三家の覇権争いを縦軸に、志桜里と半五郎と澤井家女中すみの心の交流や澤井家次女里江と許嫁稲葉幸四郎との心の交流を横軸に物語が進んでいく。女性を主人公にした葉室作品で、心地良い読後感だった。2023/08/03
ゆずぽん
22
小竹藩藩主と家老三家の確執は勘定奉行の澤井家と隣家の藩士を巻き込んでいく・・茫洋としながらも筋の通った漢と凛と立つ娘のお話は、葉室さんの真骨頂。予想したラストですが、そこまでの道のりはハラハラドキドキ。辛夷の花に思いを乗せて、二人の心情を描いた清々しいお話でした。2019/08/14
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