内容説明
文具会社で働く24歳の井久田菜摘は仕事もプライベートも充実せず、無気力になっていた。ある夜、ひとり会社で残業をしていると火事に巻き込まれ、意識を失ってしまう。はっと気づくと篤生と名乗る謎の男が立っており、「この冬、君は死ぬ」と告げられて――。ラストのどんでん返しに、衝撃と驚愕が待ち受ける!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
115
★★★☆☆20022 会社勤めの女性が主人公。押し潰されしまいそうな過酷な毎日でネガティヴになっている彼女。キツイですねぇ〜。どうにもやりきれません。読んでて心が痛くなる思いでした。そこに突然現れた男性(自称守護神)!彼の助言で少しずつ運命が変わっていきます。ラストは若干あっさり気味でしたけど、面白いストーリーでした。(テセウスの船系かな?)本作品の付箋は『どんなにベストを尽くしたとしても後悔は生まれる。何が正しいなんて誰にも分からない。自分が選んだ道を正しい道と思える様に視点を変えればいい』なるほど。2020/02/29
おしゃべりメガネ
100
記録&記憶では三冊目となるいぬじゅんさん作品です。よく見かけるタイトルで、この時期に読むにはいいかなと手にとりました。読みやすさはさすがでさらさらと先に進み、アッという間に読了でした。主人公は文具会社で働く24歳「菜摘」で、仕事もプライベートもつまづくコトばかりですっかり自暴自棄に。ある日、残業を終えて帰ろうとしたトキに職場が火事になり、逃げ遅れた彼女は生きるコトを諦めてしまいます。しかし、そこに不思議な雰囲気の青年が現れ、そこからの人生が一転します。温かな言葉がたくさん出てきて、胸がじんわりときますね。2025/02/02
えんちゃん
60
年末に発表された静岡県本屋大賞の受賞作品。冴えない無気力OLが出逢った不思議な青年。毎年12月に現れ、この試練を乗り越えなければこの冬君は死ぬという。臆病な殻を破り仕事も恋も成長していく彼女。青年の正体とは。今作もまたいぬじゅんさんの優しさに癒され泣きました。そしてこの美しい装丁。大好きな世界観です。2020/02/11
itoko♪
57
NetGalleyのゲラにて読了。2月5日頃発売予定。読了後あたたかな優しい涙が溢れてくる作品でした。人は生きていく間に、様々な選択や決断をしなければならない。その選択や決断は果たして正しかったのか、あの時にああしていれば…という後悔も沢山抱えて生きている。自分可愛さについつい独りよがりな考え方をしたり、大切な人を傷つけたりしていることもある。自分の過去を振り返る機会も与えてくれた作品でした。書き留めておきたい言葉とも沢山出会えました。安心して人に勧められる作品です。2019/01/21
ami*15
55
職場での火事に巻き込まれて以来、毎年12月になると菜摘の前に現れる篤生という人物。毎年冬になると菜摘に死が迫ると言う篤生からの助言を頼りに結婚に関する友人の辛い悩みや両親の命と向き合っていく。特に私も菜摘のように家族が嫌だと思ってしまうことがよくあります。でもいつかは家族が病気になったり亡くなったりする時が訪れる。その時に後悔しないために身近な存在である家族との時間を日々大切にしていきたいと思いました。いぬじゅんさんらしさもあり、書き続けた日記で繋がった菜摘と篤生の絆が心に沁みる良作でした。2019/02/27