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内容説明
水木しげる本人が責任編集を務め、全身全霊を捧げて作り上げた貸本『少年戦記』。太平洋戦争を舞台にリアルな人間像が描かれた戦記漫画に加え、一度も復刻されていない、軍艦イラストや自ら取材に赴いたインタビュー記事、エッセイに至るまで、本全集では水木が手がけた全ページを収録! 子供達を夢中にさせた伝説の貸本が、半世紀の時を経て、色鮮やかに蘇る!! ★解説「戦争なんか、やってる場合じゃない」松本零士(漫画家)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
憲法記念日そっくりおじさん・寺9条
40
水木しげるがほとんど一人で執筆・編集していた貸本雑誌『少年戦記』に載せた漫画集。漫画はかつて他の本で読んだ既読のものばかりだが、そこはさすが講談社の水木しげる大全集である。『少年戦記』内のオマケ的資料ページなども載せてくれている。イラストの勲章図鑑や陸軍・海軍の腕章図鑑は、横に添えた水木しげるの一言が、いかにも水木しげるという感じで面白い。復員後にみんなで魚屋になろうとしてある老人を訪ねた読物や、撃墜王・大空のサムライ坂井三郎訪問記などのユーモアあふれる文章やイラストが面白い。水木ギャグ好きだ。2015/07/16
ぐうぐう
16
「水木しげる作戦シリーズ」は、その名の通り、太平洋戦争の実戦記だ。作戦そのものを漫画で描いている。ところが水木は、作戦を描くにあたって、若き一兵士の視点をそこに取り込む。そこには、亡くなった戦友の記憶が重なっている。数々の作戦を描くことは、ときに読者に高揚をもたらせてしまうところを、水木は、銃弾に晒される兵士達を登場させることで、高揚に冷水を浴びせ、戦争の愚かさを読者に突き付けるのだ。2015/06/18
軍縮地球市民shinshin
8
1960年代は、当時の「戦争を知らない子どもたち」に戦記ものブームがあったとは初めて知った。戦記ものは1970年代ぐらいまで、戦時中20代だった若者が40,50代になって社会の第一線で働いていた時にも確かブームになったと聞いている。これは懐古的なものもあったのだろうが、60年代の戦争を知らない世代の戦記ものブームはなんだったんだろう。水木の戦記は、少年向けといってもまったく手を抜いていない。なるべく史実に忠実に、そして戦争の悲哀を感じさせる作品が多い。2015/06/13
剛腕伝説
6
水木しげるの戦争物。2024/02/25
大臣ぐサン
4
「戦争ほど悲惨なものはない…」大先生の戦記物はこの言葉に集約される。大先生の戦記漫画には、子どもたちが心を躍らせるような英雄的な豪傑譚も華々しい戦果も存在しない。史実を描きながらも戦争に漂う死の空気、兵士の葛藤、そして戦争の悲惨さというメッセージが貫かれている。本書は貸本漫画家時代に自ら監修した『少年戦記』に収録された作品が収められているが、後に『総員、玉砕せよ!』として昇華される水木しげる戦記漫画の基礎が、この時期に既に出来上がっていることが読み取れる。水木しげる初期戦記漫画の傑作である。2015/06/06