貸本戦記漫画集 壮絶！特攻 他 水木しげる漫画大全集

著者名：水木しげる【著】

講談社（2019/02発売）

• ISBN：9784063775372

内容説明

水木戦記漫画、初期の４作品を丸ごと大迫力で完全復元！　虚実を交えて描かれる、戦争の悲惨な真実。漫画に託された水木しげるのメッセージを、決して忘れてはならない……。50年の時を遡り、原稿の美しさが蘇る最新デジタルリマスター！　★解説「全員が『犠牲者』、それが戦争です」ちばてつや（漫画家）

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[ただいま蔵書整理中の18歳女子大生そっくりおじさん・寺]

水木しげるの貸本時代の戦記漫画集。戦記というのは戦史に理解が無いとつまらないもので、状況を飲み込んでないと説明と「バババババ」「どどどどど」「ザーッ」「ゴー」「ボカーン」等の羅列を眺めるばかりである。そんな中、表題作の『壮絶！特攻』は説明も少なくわかりやすく、水木貸本戦記の中では一番の良作かも知れない。というよりもそれは、「特攻」という捨て身の行為の単純明快なわかりやすさと悲壮感によるものかも知れない。それ故に今なお人は『永遠の０』に食いつく。一撃を与えるのみで、祖国の誰をも救えない行為に。

2015/11/12

[たまきら]

貸本時代の戦記漫画集は、自分の知っている水木先生の絵ではなく、字だけが知っているスタイルなのがとても不思議。解説がちばてつやさんで、この解説を読むだけでもこの本を読む価値がありました。戦闘機漫画は、父が松本零士さんのシリーズを大切にしていた思い出があります。サイン入りで、「スタンレーの魔女」とか入ってたけれど、そうか…流行時代があったのか、と解説を読んで知りました。ちばさん、水木先生の言葉がすきです。はい、これからも及ばずながら記録を読み続けます。

2021/03/09

[ぐうぐう]

貸本戦記漫画集の２巻。南方のジャングルでの戦い、特攻、艦隊戦と、舞台はそれぞれ異なるが、どの戦記漫画においても敵方が憎むべき存在として描かれていないのが特徴だ。敵もまた、国を担い戦う、戦わざるを得ないという意味では同じではないか。実体験から来る、そんな水木の憤りが静かに込められている。「零戦総攻撃」における、敵対するパイロット同士が兄弟だったという設定が、如実に水木の想いを象徴している。憎むべきは敵ではなく、戦争という行為そのもの。水木の戦記漫画は、ただただひたすら、そのことを告げている。

2015/09/11

[軍縮地球市民shinshin]

水木の初期・中期の貸本戦記漫画の作品集。自身も従軍経験があることから、その戦闘の描写は迫真迫るものがある。最初期の「0号作戦」は「超兵器」が登場するなど、漫画的な描写が目立つ作品となっているが、水木の実体験も踏まえた物語になっている。横暴な上官というのも、お役所体質と妙な精神論に囚われていた当時の日本軍をよく描けていると思う。

2015/09/20

[剛腕伝説]

水木しげるの戦争物。後の戦争物とはアプローチが違う。

2024/02/25