内容説明
美しいあの方のお傍に、恥じることなくいられるだけの強さが、ほしい――
平安中期、時の帝の寵愛を受ける中宮(平安時代の皇后)定子に仕えることになったなき子(清少納言)。
当時としては「年増」と呼ばれる年齢になってから才を買われて宮中に入ったなき子だが、定子に瞬く間に魅了される。
華やかな宮廷で卑屈に縮こまっていたなき子の心をほぐしてくれた、眩いほどに美しい年下の主人。
「女が学をつけても良いことは何もない」といわれていた時代、共に息苦しさを感じていた定子と清少納言は強い絆で結ばれていくが、定子の父の死によって栄華を誇った一族は瞬く間に凋落していく……。
定子の兄・伊周との身分違いの恋に苦しむなき子、そして紫式部との因縁。
悲運の時代を描いた哀切にして美しい平安絵巻に仮託した、女性の自立の物語。
「わたくしたちがずっとその心を忘れなければ、女が役に就ける御世がきっと来る。この悔しさを、のちの世の女は味わわなくてすむようになる」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆずきゃらめる*平安時代とお花♪
35
ー所々、砂子の中より、青き草うち見えて、さびしげなるこそ、あはれなれー華やかで才気ある女たちが集まっても権力には勝てないかもしれない・・それでも女性たちは少しの楽しみを望んで戦った。どうしても伝えたいことがあって少納言の残した草子は後世に残したのだろう。少納言は思い切った性格ではあるが紫式部を悪にしすぎではないか?その点を見ると対なる物語を書いて欲しいです。2019/02/13
のんちゃん
30
大好き宮木あや子先生による平安絵巻。清少納言と中宮定子を中心にその時代の愛、政治的策略、女人の生き方等が描かれる。古典を勉強していた頃、清少納言と定子、紫式部と彰子の対だと断然後者の方が好きだった。清少納言は勝気な感じがして、紫式部の方が奥ゆかしい感じがしたからだ。が、今回、宮木先生の手によって、清少納言の行動力に感銘し、好みは逆転した。千年も前のお話、正解は分からないが、宮木先生が言うのであれば、その通りと、ファンとしては言わざるをえない。頑張ったよ、清少納言。2020/05/05
蒼
25
自分の才能に自信を持ち、自分以外のイケてない人間は男も女も見下げる女清少納言、というイメージはいつどうやって自分の中に植え込まれたのだろうか? と思わざるを得ない読書だった。また反面、自分の才能を信じただひたすらに物語を紡ぐことが生きる証、と生きた紫式部のイメージをものの見事に打ち砕き、我儘姫中宮彰子共々嫌味で鼻持ちならない女社会のドロドロを書ききっていた。清少納言と紫式部が同時代を行き、共に作品を残していたという事だけが事実 。恐るべきは作家宮木あや子氏という事か。2019/10/19
のん
16
お気に入りの方の感想を読んで、購入しました。 初読みの作家さん。清少納言と主の定子を題材にした物語。面白かった❣️2019/05/03
赤い熊熊
13
どの程度史実なんだろう。紫式部が「鬼」のような人でなしとして描かれてるけど。調べてみると、清少納言と紫式部が直接会い見える機会はなさそうなので、あくまでもフィクションなのか。それにしても2人とその周りの人々に興味を持たせる本でした。2019/03/06