内容説明
1923年9月――、関東大震災直後、戒厳令下の帝都東京。「主義者暴動」の流言が飛び、実行される陸軍の白色テロ。真相究明を求める大川周明ら左右両翼の思想家たち。社屋を失い、山本実彦社長宅に移した「改造」臨時編集部に、大正一級の言論人、仇討ちを胸に秘める同志らが寄せる、享年38歳の革命児・大杉栄への、胸を打つ鎮魂の書!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
厩戸皇子そっくりおじさん・寺
60
山田風太郎が、あと10年寿命をあげたかった人物の1人に数えた大杉栄。その大杉が伊藤野枝、甥っ子橘宗一と共に甘粕正彦に殺されたのちに友人知人が回想した文集。私は歴史上の人物の、こうした回想されたスケッチのようなものが好きである。歴史に果たした仕事以上に、どんな隣人であったか。当たり前だが、読んでみると必ずしも良い所ばかりではないのは当然である。読んでいて気にくわない点もあるが、アナキスト特有の良い雰囲気もある。読了後すぐにレビューしなかったので、忘れた部分も多いが、楽しく読んだのは記憶している。2021/06/02
澤水月
6
1923/9虐殺、「改造」11月号掲載の生々しさ。親交のあった者のみならず葉山日陰茶屋事件で伊藤野枝を殴り断絶していた人物や「恨みはあったが憎しみはない」「張り合いがなくなった」前妻(言葉通り何と翌年亡くなってしまう!)、前日会った人など様々に思いを寄せる。伏せ字だらけなのも恐ろしい。尾行警察を時々アゴで使ったり馴れ合ってた様も見受けられ興味深い、原敬暗殺号外を買いにいかせたり遊郭で女といるところに火事を報せに来たり。子供を溺愛する様子など、歴史上の人物でなくつい昨日まで生きていた者のように感じさせる。2013/09/21
門哉 彗遙
2
もし大杉栄が殺されなかったら、なんか考えても仕方ないが、1世紀も後の僕でさえも悔しくて仕方ない。2021/12/05
あまたあるほし
2
これは面白い。特に大杉の金にまつわる話は人によって見方が違い余計に愉快だ2013/09/21
Kato Seiya
1
大杉栄の自伝や伝記より大杉栄の人となりが分かる名著。2013/11/30