サンデル教授、中国哲学に出会う

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サンデル教授、中国哲学に出会う

  • ISBN:9784152098320

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内容説明

ハーバード大学の超人気教授にして《Newsweek》中国版が選ぶ「最も影響力のある外国人」、マイケル・サンデル。彼の共同体主義は、儒教を始めとする伝統的な中国哲学とどのように共鳴するのか? 気鋭の研究者9名の論考にサンデルが応答する、正義論の新展開。東洋の「正義」の話をしよう。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Kentaro

26
マイケル・サンデルの著作、とりわけ『リベラリズムと正義の限界』は、個人という概念や正義にかなう社会という概念を的確に理解・評価するには、共同体に基づく枠組みが必要であることを示している。サンデルは、正義は絶対的なものではないと主張する。古典的な儒教思想家は、二つの主要な仕組みが社会の運営を統制し、円滑にすると考えていた。一つは「法」と呼ばれるもので、文字通り「法律」を意味する。もう一つは「礼」である。礼には多くの社会規範、礼儀作法、儀式が含まれており、礼を通じた教化によって、人びとは「仁」へと導かれる。2019/03/06

さとうしん

13
東西の中国哲学研究者によるサンデル論評・批判とサンデルからの応答。サンデルの中国哲学との出会いより、中国人あるいは中国哲学のサンデルとの出会いに比重が置かれている。朱子学・陽明学の立場からサンデルの議論はどう見えるかというのも読みたかった。中国哲学がサンデルの議論と調和できる、あるいは補足できるという議論を見てると、我々日本人は果たしてこのような哲学を持っているのかと感じた。「儒教」は我々日本人の哲学でもあったはずだが…2019/01/30

hiroizm

6
サンデル白熱教室は中国でも大ブームらしく、この本はそれを受けての中国現代哲学者らによる公共哲学批判およびサンデルの回答。ギリシャ古代哲学、孔子、老子、孟子の中国哲学、さらには近現代西洋哲学及ぶ広範囲な論議に、字面を追うだけで脳が熱中症。僕の限界越えた本だった。人権、人間の尊厳がどう論じられてるか知りたくて必死に読んだが、儒教的な徳があれば十分とか、ぼやけた印象なのが、まあ今のチャイナかなぁという感じ。ともあれ中国では東洋哲学がかなりアツく、こんなハイブロウな言論の自由が一応あるとわかって収穫。2019/08/07

Roy

5
中国哲学者によるサンデル教授の論考に対する考察とそれに対する応答で構成。儒教、老荘思想など難解な思想哲学をもってサンデル教授の哲学を読み込むので、中盤辺りは読むこむのに苦労した。儒者が重視する調和という視点がサンデル教授の市民的共和主義と通じる部分がある。一方で、人間そのものの捉え方では相違があり、最後40ページのサンデル教授の応答だけでも読み応えがある。儒教は中国文化に強く影響を与えているだけに、市民の熟議を要する哲学と為政者に利用されてきた儒教の共通点や相違点は今後の社会の趨勢を考える上で興味深い。2020/01/18

FUJI燦々

5
難解でよく理解できない部分もあったが、とくに老荘思想の観点でサンデルの考えに迫る部分が興味深かった。それに加え【意見を一致させることが討論の目的でなく、問題に対して自分の考えに同意しない参加者とともに考えるよう促すことがその目的だ】と述べている部分は至言だと感じた。2019/04/04

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