岩波科学ライブラリー<br> 音とことばのふしぎな世界 - メイド声から英語の達人まで

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岩波科学ライブラリー
音とことばのふしぎな世界 - メイド声から英語の達人まで

  • 著者名:川原繁人
  • 価格 ¥1,320(本体¥1,200)
  • 岩波書店(2019/01発売)
  • ポイント 12pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784000296441

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内容説明

「あ」と「い」はどっちが大きい? あるいは,「ゴジラ」と「コシラ」ではどうですか? こんな質問をされたら,あなたはどう答えますか.文字そのものには大小がないはずなのに,音で聴くと母語が何であるかにかかわらず大小を判断するそうです.その他,存在しない音を聴いてしまう脳の機能など,最先端の話題を楽しく紹介します.

目次

目  次
   プロローグ──日本人は英語が苦手?

 第 1 章 「マル」と「ミル」はどちらが大きい?──音象徴
    [a]は大きくて[i]は小さい?/ 「ゴジラ」が「コシラ」だったら?/ 「濁音=大きい」──口の中が広がるから/ケーラーの不思議な図──「タケテ」と「マルマ」/名前で見た目の魅力も変わってしまう?──名づけの音声学/ 「タ行」は男の子の音,「な行」は女の子の音?/ 「タ行」は「ツンな」名前,「な行」は「萌な」名前?/本当にツンツンしている「タ行」の音/ 《まとめ》
 第 2 章 「あかさたな」とサンスクリット研究──音声学のはじまり
   音声学の始まり──五十音図の起源は紀元前 4 世紀!/調音点と調音法/ 「ひよこがぴよこ」で「母がパパ」?/五十音図に隠された規則性/日本語のラッパーは音声学者?──日本語ラップの韻の分析/ 「あいうえお」にも意味がある/顔文字の発明者は音声学者?/ 《まとめ》
 第 3 章 世界中のことばを記録する方法──記述音声学
   世界のすべての音を記録する国際音声記号/ 『マイ・フェア・レディ』と音声学の意外なつながり/アフリカの奥地からアマゾンの奥地まで/舌打ちで話すことば,子音だけで話すことば/日本の方言学/言語聴覚士にも必須の音声記号/《 まとめ》
 第 4 章 音を目で見る──調音音声学
   mri で[r]と[l]の違いを目で見てみよう/あなたは「巻く」派? 「巻かない」派?/ “鼻にかかった音”はどんな音?/mri で日本語の母音をチェック!/舌の動きはエコー検査で!/ema と顎と顔文字と/声帯の動きを首の外側から観察──egg のテクニック/調音点・調音法をもっと正確に!──epg/ 《まとめ》
 第 5 章 声紋分析官への道──音響音声学
   実は大事な三角関数/フーリエ解析──すべての音は 1 つの音でできている/ 「あいうえお」の声紋とは?/声紋から探る[r]と[l]の違い/どうして電話の相手の声を間違える?──振り込め詐欺に注意!/秋葉原のメイド声ってどんな声?/アメリカ人だって,外国語習得は苦手/音響分析なら何でもお任せ──praat/ 「高いのは小さく,低いのは大きい」?──音響的音象徴/ 「はい,チーズ!」の「チーズ」はどこから来た?/ 《まとめ》
 第 6 章 ないはずの音が聞こえる日本人──知覚音声学
    [r]と[l]──深層では何か違いを感じている日本人/カテゴリー知覚/ [ebuzo]と[ebzo]が同じに聞こえる日本人/脳が音をでっちあげる?/日本人だけじゃない──[tl]と[kl]が同じに聞こえるアメリカ人/赤ちゃんは言語習得の天才/赤ちゃんはテレビで音は学ばない/完璧な外国語習得は無理?/ 《まとめ》
 第 7 章 社会との接点を目指して──福祉音声学
   消滅危機言語を救え!/現代社会に根付いている音声工学の技術/より効率的な外国語学習方法を目指して/失われる声を救う──マイボイス
   エピローグ──さらなる視界へ
   参考文献の紹介

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

へくとぱすかる

39
音声学全般を広く、しかし最前線の話題で紹介。なにしろメイドさんの(むろん日本の)発音までフィールド調査してあるのだ! 「日本人はLとRの発音の区別がつかない」ことから始まり、声紋など音の物理、脳でのことばの認知など、実に手広く非常によい入門書。ところで、音の物理と言葉の意味とが、完全には無関係でないことは、言語学にとっては、大きな前提の崩壊にもなりかねないのでは?2015/11/10

1959のコールマン

37
☆4。ちょっと中途半端な本になっている。音声学の中心ではなく、面白ちょいネタ中心になっている。著者は音声学が専門の方なので数学的な部分が抜けているのがその理由でもある。「初心者向けの本なので、細かい数学的な部分は省きます」とのことらしい。ただ、初心者向けの本とは言え、イントロダクションだけの本とは言え「言葉はなぜ生まれたのか」岡ノ谷 一夫著といった名著もあるから、やはり数学的な部分はオミットするべきではなかった。残念。とはいえネタには結構面白いモノもあるので、内容に関しては図書館で確認するといいだろう。2019/10/05

Kikuyo

25
濁音は大きく力強い=口の中が広がるから。音から意味の連想が起きるのを音象徴といい、[a]は大きくて[i ]は小さいなど音声学の入門編。音から受ける印象って確かにあるなと思う、その謎が少しとけた。 丁寧な説明で音声学に興味が湧くような語り口になっている。2018/06/27

しゅん

23
「あ」の方が「い」より大きく感じられるのは日本でも欧米でも共通(おそらく全世界共通)している。それには身体運動上の理由がある。本書は、音声学の見地に基づき、「音とことば」の不思議を明かしていく。名前において「男っぽい」「女っぽい」のような印象の違いが生まれる理由や、日本人が「r」と「l」が区別できない理由などを、研究蓄積と音響装置によって解き明かしていく。その論述が簡潔かつスムーズで、読んでいて楽しい。音韻分析の入門的な(面白くて学びの深い)書物を探していたのだが、見つかって非常に嬉しい。2023/01/09

calaf

21
言語を構成する「音」は本来、単なる符号に過ぎない...はずなのですが、実際にはいろいろな印象が乗っかっていることも多いみたいです。「マル」と「ミル」、「ゴジラ」と「コシラ」、「ガンダム」と「カンタム」では、前者の方が大きい印象がある人が多いのでは?これは日本人に限らず人類に共通してみられる傾向であるらしい...というような話 (はしょり過ぎ!笑)2016/02/14

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