内容説明
そこはとても奇妙な学校だった。入学してくるのは、妖精界や菓子の国へ行った、不思議の国のアリスのような少年少女ばかり。彼らは戻ってはきたものの、もう一度彼らの“不思議の国”に帰りたいと切望している。ここは、そんな少年少女が現実と折り合っていくすべを教える学校なのだ。死者の殿堂に行った少女ナンシーも、そんなひとりだった。ところが死者の世界に行ってきた彼女の存在に触発されたかのように、不気味な事件が起き……。不思議の国のアリスたちのその後を描いた、ヒューゴー、ネビュラ、ローカス賞受賞のファンタジー3部作開幕。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
101
「自分の居場所はここだ!」と思っていたのにその世界から(一時的に)追い出された子供たち。そんな彼女・彼らにとって、行く前にいた世界や家庭は身の丈に合わない服のように窮屈で。変わってしまったのに自分を子供扱い(若しくは厄介者か、理想を押し付ける)親への苛立ちや諦めを覚える子供たちの気持ちも分かる。しかし、親もそうでも思わなければ時間が埋められない焦燥、子供がこの世界が居心地悪い事に心から寄り添えない辛さもあるのだろう。幸い、子供たちにはエリノアのような人や友達がいるが、帰れる人と帰れない人の違いが少し、残酷2019/02/03
ヘラジカ
64
人は異世界に行った時のことを妄想しても、帰ってきた後のことを想像することはない。この小説はそんな斜め上、というか一歩先に進んだ発想によって生まれた魅力的な世界を有している。ファンタジーの世界を経験した少年少女は現実に戻った後どんな生活を送るのか、という独特な視点。物語としては『サスペリア』を彷彿とさせる学園ミステリーで、『不思議の国のアリス』の後日談を期待して読む人は裏切られることになるだろう。創元は邦題の付け方と宣伝の仕方がときに悪質と言える領域にまで及ぶが、正にこの小説も被害者の一つと言える。2018/11/01
ゆかーん
58
アリスのその後の世界が書かれているというので、楽しみに読んでみたら…。アリスが100歳のお婆ちゃんになって、学校の寮母となっているんだからびっくり!この学校では、アリスのように異世界へ行った少年少女たちが暮らしています。子供たちは現実の世界に戻ってきても、大人たちと上手く生活できずに、もう一度“不思議の国”に帰りたいと切望している訳アリの問題児ばかり…。楽しい世界だけが、ファンタジーのすべてではないと教えられているかのような、ダークな雰囲気を感じる、不気味な物語3部作の始まり、始まり…。2019/10/08
星落秋風五丈原
55
ナルニア物語がディスられてる!大人になっても戻れる人と戻れない人のからくりと、戻れる世界の事があまりよくわからなかった。短いボリュームなのにな。2018/12/11
ケロリーヌ@ベルばら同盟
51
扉の向こうの世界に心を置いたまま、元の世界に追い戻された少年・少女たち。エレインの豪壮な邸を改築した学校は、そんな彼らが、こちらの世界と折り合いをつける術を学ぶ場所。向こうの世界こそ自分のいるべき所と信じるナンシーは、前の明るくて、可愛いものが大好きだった娘に戻って欲しいという両親の願いも良くわかっています。辛い気持ちを抱えて始まった学園での生活。其々の世界に帰りたくて煩悶する生徒たちとの間に共感めいたものを感じ始めた矢先、恐ろしい事件が起こり…。ファンタジー風の表紙を裏切る、ゴシック・ミステリーでした。2019/03/15
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