岩波新書<br> 日米安保体制史

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岩波新書
日米安保体制史

  • 著者名:吉次公介
  • 価格 ¥946(本体¥860)
  • 岩波書店(2019/01発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004317418

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内容説明

いわゆる「安保体制」はどのように形成され,変容・維持されてきたのか.日本の対米協力,米軍基地の運用,米軍基地問題をめぐる日米関係史の三つの要点を軸に,内在する「非対称性」「不平等性」「不透明性」「危険性」に焦点を当て,その全歴史をたどる.大きな転換点を迎えたいま,今後の方向性を考えるための基本の一冊.

目次

目  次
   はじめに

 第一章 講和の代償 一九四五─六〇──日米安保体制の形成

 第一節 日米安保体制の成立
  1 米ソ冷戦の始まりと日本
  2 対日講和と安保条約
  3 安保調印の波紋

 第二節 「独立の完成」をめざして──安保改定への道
  1 鳩山一郎政権の挫折
  2 安保改定の模索
  3 新安保条約の調印

 第三節 安保体制の「危険性」──米軍基地問題の始まり
  1 安保体制の成立と米軍基地問題
  2 在日米軍の縮小

 第二章 米国の「イコール・パートナー」として 一九六〇─七二

 第一節 「イコール・パートナーシップ」の形成
  1 安保体制の転換点
  2 ベトナム戦争と安保体制

 第二節 沖縄返還と七〇年安保
  1 「戦後は終わらない」
  2 「核抜き・本土並み」をめぐる相克
  3 七〇年安保というハードル

 第三節 国民的「十字架」としての米軍基地問題
  1 「基地公害」への批判
  2 核をめぐる不安
  3 基地問題の「暴風信号」

 第三章 日米「同盟」への道 一九七二─八九

 第一節 日米「同盟」への起点
  1 「基本的枠組み」としての安保体制
  2 「日米防衛協力のための指針」の策定──「同盟」への起点

 第二節 新冷戦と「同盟」路線
  1 新冷戦の幕開け
  2 「同盟」をめぐる迷走
  3 「同盟」関係の強化

 第三節 基地をめぐる本土と沖縄のねじれ
  1 本土における基地問題の後退
  2 核兵器持ち込みへの疑念
  3 沖縄への集中と固定化

 第四章 冷戦後の課題 一九九〇─二〇〇〇──安保再定義と普天間移設問題

 第一節 湾岸戦争と安保体制
  1 「湾岸のトラウマ」
  2 自衛隊の海外派遣
  3 日米「同盟」の定着

 第二節 安保再定義と97ガイドライン
  1 「同盟漂流」への懸念
  2 アジア太平洋地域の「基礎」へ

 第三節 激変する米軍基地問題──普天間移設問題の始まり
  1 沖縄少女暴行事件の衝撃──顕在化する「危険性」と「不平等性」
  2 普天間返還の浮上

 第五章 安保体制の「グローバル化」 二〇〇一─一八

 第一節 「テロとの戦い」と「世界の中の日米同盟」
  1 米国同時多発テロとテロ特措法
  2 「戦地」に向かう自衛隊──イラク戦争とイラク特措法
  3 g・w・ブッシュ政権の世界戦略と日本

 第二節 「安保構造」への挑戦と挫折──民主党政権下の安保体制
  1 日米の軋轢
  2 普天間移設をめぐる迷走

 第三節 集団的自衛権と安保体制──本格化する「グローバル化」
  1 集団的自衛権の行使容認
  2 安保体制の「グローバル化」──15ガイドラインと安保関連法
  3 アポリアとしての米軍基地問題
   おわりに
   あとがき
   重要語
   関連年表
   巻末資料
  日米安全保障条約(旧)
  日米安全保障条約(新)
  米軍の事故について
  在日米軍施設・区域(専用施設)の件数及び面積の推移
   主要参考文献一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

65
日米安保についての通史。最新の研究が盛り込まれている。湾岸戦争のときのクウェートの感謝広告のくだりには驚いた。情報操作の意図が働いた可能性があるとのこと。2018/11/28

壱萬弐仟縁

30
本書の日米安保体制の定義は、日米安保条約及びそれに関連する諸取決めに基づく、軍事領域を柱とし、政治・経済領域を含む、安保に関する日米協力体制とのこと(ⅳ頁)。NGO政策提言委員をしていたときに出てきた、日米両政府は「沖縄に関する特別行動委員会(SACO)」を設置したことを思い出した(158頁)。米軍機の低空飛行訓練ルートではブルールートがわが地域に重なるのか(164頁)。自衛隊機はたいてい、南西方向から北東方向へと飛んでいくのが確認される。結構な騒音と大きさのときは電話で抗議した。2021/05/01

skunk_c

26
比較的若手の研究者による、66年間の日米安保体制に関する通史で、若い世代らしく、安保体制自体は肯定している模様で、淡々と事実を積み重ねながら記述している印象。今までこうしたコンパクトな通史がなかったので、全体を俯瞰するいい道しるべだと思う。その中にある、本土の基地問題への忘却という視点は、沖縄の基地問題を「他人事」としてしまうという指摘とともに重要。また、戦争をしないと宣言した国と、戦争をし続ける国が、対称的な同盟を結ぶという矛盾の向こうに憲法改正があるとしたら、恐ろしいことだ。しかも対等にはなり得ない。2018/12/26

那由田 忠

17
安保条約の歴史をコンパクトに、様々な論点の紹介を含めてわかりやすく説明している(2000年以降は不十分)。特に、米軍基地が本土で削減される経緯、日本政府の努力がよくわかり、沖縄への基地集中についての理解が深められる。①旧条約への評価について、前文を読むだけでその背景(日本の非武装状態)がわかるのにそこを踏まえていないこと、②安倍の集団的自衛権容認について、フルスペック行使の不安があると根拠なく述べている点が不思議であった。米国の不法な戦争に協力した途端に政府がぶっ飛ぶので、バカなことは不可能と私は考える。2020/08/12

coolflat

17
11頁。吉田とダレスが安保条約の生みの親と言われるが、昭和天皇の役割も無視できない。安全保障に強い関心を抱いていた天皇は、47年5月日本の安全保障のために米国がイニシアティブをとるようマッカーサーに求め、9月には沖縄に関する「天皇メッセージ」を米側に伝えた。さらに天皇は、51年2月のダレスとの会談で米軍の日本駐留に同意し、9月には安保条約の成立を支持する考えをリッジウェイ連合国最高司令官に示した。こうした天皇の安全保障観は、反共意識と表裏一体であった。2020/02/22

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