内容説明
日本最大の仏教宗派、浄土真宗。開祖・親鸞は、絶対他力の教え、悪人正機説など、思想の革新性で知られている。本書では、さらに平安時代の浄土信仰や、密教呪術とのつながりにも目を向け、親鸞の教えと、それがどのように広まったのかを、豊富な史料とエピソードに基づき描きだす。師・法然から、親鸞、その子孫、室町時代に教団を確立した蓮如、そして東西分裂後まで、浄土真宗の思想と歴史を一望する。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
96
一般の宗派解説本と思って読むと大火傷をしかねぬ一冊。少し大袈裟だけど。親鸞やその家族、子孫が迷信と呪術に満ち溢れた中世と言う時代を、何を考えて生きていたかを見る、挑戦的な一冊である。何に挑戦的かと言うと浄土真宗そのものに対してである。なんせその、未だに護教論的立場からの批判が有る界隈だから仕方がないのです。2024/12/15
HANA
65
親鸞と本願寺教団を従来の絶対他力神祇不拝といった点からではなく、当時の信仰という面から問い直した一冊。生涯や教学は従来の説を下敷きにしているが、特筆すべきはやはり呪術との関わり合いや自力との向き合い方。臨終行儀を完全に否定したのは親鸞だけで、後の本願寺門主もそれを否定していないというのは極めて面白い。やっぱり難中の難っていうのは伊達ではないなあ。他にも叡山浄土教から近世の親鸞観まで、通史をその観点から読み解いていくのは力作といえる。底本となった『親鸞の信仰と呪術』の方を一度詳しく読んでみたいものである。2017/02/02
きいち
47
親鸞も、またその後継者たちも、そして蓮如も、絶対的な他力信仰を言いつつも自力や呪術的なふるまいから自由でいられなかった…これまでの近代的な解釈と異なる親鸞像は、なるほどだからこそ真宗が多数派たりえたのか、と納得。自分も子どものころから正信偈あげて育ったけど、唯一神たる阿弥陀様への一対一の信仰と言われると違和感を覚えていたので。◇いやむしろ、心の中でのそうしたせめぎ合い、そして折り合いのつけ方にこそ、「正解よりも納得解」のプラグマティズム的な現代性があるのでは?。◇江戸期や明治以降も知りたくなる。続刊希望。2017/04/13
逆丸カツハ
35
親鸞の考えたことの解説を期待して買ったものの、内容が歴史学の観点からであったので面食らったが、面白かった。親鸞自身も他力本願に困難を感じていたというのは驚きであった。聖人も人間なんだなぁ。2024/05/12
かごむし
35
現世利益を望まず、死後に極楽浄土に往生し、彼の地で幸せな生活が待っているという思想の徹底は、現世に何も望まないということを強いる難しさがあり、親鸞以降の教義の揺れなど、とても興味深く読んだ。また、学術書という観点から、親鸞を含めた歴代の浄土真宗指導者たちの、説いた教義と、その人自身の信仰・思想を突き合わせる作業は、その作業をしようと発想すること自体、エグイなと思ったが、社会の変化の中で個人に根付いた、生々しい信仰を見る思いがしてこれも面白かった。自分が持っている信仰と比較することで、考えることも多かった。2017/10/23
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