ちくま文庫<br> 伝達の整理学

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ちくま文庫
伝達の整理学

  • 著者名:外山滋比古【著】
  • 価格 ¥660(本体¥600)
  • 筑摩書房(2019/01発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480435644

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内容説明

日本人は思考の伝達が苦手である。ことばの読み書き偏重、知識を自分の頭に詰め込むことばかりに熱心で、自分の考えをどう深め、どう伝えるかを考えていない。AIが人間を脅かしているいま、人間にとって大事なのは思考の整理と並んで、ことばの伝達とその整理学である。教育のあり方、知的生活のあり方などをめぐって今も精力的に発言を続ける知の巨人が満を持して放つ、待望の文庫書き下ろし。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

takaichiro

96
日本語の良さを研究し、世の中に伝えることを生きがいとする外山さんのコミュニケーション論。デジタル社会ではSNSへの投稿に見られるように、言葉の活用を読み書きに傾斜させる傾向がある。人間と人間の直接の会話でしか伝えられない力や心情に注目して、もっと会話のスキルに注目すべきではと語りかける。世界には珍しい「あいまいさ」を包含する日本文化は、ロジック命の欧米文化と異なる。その良さを理解し、日本語の豊かな表現をもっと使える様にすれば、日本文化はさらに華やかなものになるのではと。外山さんの日本愛、今回も炸裂です。2019/09/10

しゅてふぁん

49
それはどうだろうと感じることもあったけれど、そんな考え方もあるのねと新鮮だった。外山氏の文章は読んでいて気持ちが良い。「聡明」ということばは目の知能よりも耳の知能を先にしているとか、モモタロウは聴覚文化を代表する説話であるという話になるほどなぁ、と。「あいまいの美学」「コケ文化」も面白かった。これからはことばを話し、聴くことに気を遣ってみよう。2019/07/30

kawa

37
御年96才の外山先生、益々盛んで本書も新書書き下ろし。読み方偏重、書く・話す・聴くを疎かにする日本の国語教育。「真実は貴重であるが美しい虚構は平和をもたらす」、絵そらごとや嘘にも効用がある。世界に誇れる座談会文化。敬語は自分の言っていることがよりうまく相手に通ずるためにある。古典は後世の読み手が作る。良書は読んでその影響から逃れるのが大変なので危険、等々。相変わらずの楽しくも鋭いご指摘。益々快調、凄い。2019/09/15

黒澤ペンギン

13
『「読み」の整理学』でも思ったが、やはりこの方は言葉の発明家だ。四人称・五人称という発明は、物語を読んだり聞いたりする時の楽しみ方をピタリとはめてくる言語化だった。/忘れることの効用は考えたことがなかったが、読んだものによって自分がいなくなる感覚はたびたび感じていた。自分の考えをまとめる前に、他で読んだ言葉が出てきて邪魔をしてくる。忘れることがなければ自分でいられないと思うと、その効用が少しわかった。2023/01/09

アイロニカ

10
うーむ、巷で話題の『思考の整理学』に乗っかる形でこちらも読んだが、これは本当に書き下ろしなのかと疑うくらい話題の古さと重複が目についた。「思考の伝達」を謳っているものの内容は対話論ではなく、情報伝達の場における立場と認識と変容についてのエッセイ、だろうか。ネットの普及による送り手と受け手のインタラクティブ化について言及がないのが気になる。著者が高齢であるためか、それとも大衆が発信する力を持ったような認識は驕りによる幻想なのか。力ある受け手など現実には存在せず、ポピュリズムに陥るのが関の山ではなかろうか。2019/05/26

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