内容説明
英語の知識は、政治・経済・文化などあらゆる面で世界に向け開かれた大切な窓である。英語圏の人々とまったく同等にコミュニケート出来るだけの表現力はどうしたらつくのだろうか。英語には日本語に、日本語には英語にない考え方、感じ方がある。その違いを知り、自分の言いたいことを英語で表明できるための辞典。「英和の部」では、日本人が誤解しやすいもの、英語理解のカギになるもの、頻度の高いスラング、まぎらわしい同義語を厳選し、「和英の部」では、英米人に分かりにくいニュアンスをもった語句、日本語の伝統的な表現、慣用句、俗語などをアルファベット順に配列する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちぇしゃ
15
初版から繰り返し増刷されているのにはきっと理由があるはずと思って手に取った。ちょっとした言葉の意味のズレや、こういう場合はどう表現したらいいのか、という細かくて曖昧な意味を、そのズレのようなものをある程度認識しつつも、定義されている内容は的確。言葉の選び方の参考になる。この本が書かれた時代を考えるとこの著者の語彙量、表現の豊かさ、その姿勢に叱咤激励された気持ちになる。英語の学習方法や用語集などはたくさんの教材があり、情報も簡単に手に入る中で、この本が求められる理由がそこにあるような気がする。2018/11/20
タイコウチ
9
英語研究者として名前は知っていたが、鮎川信夫や加島祥造を経由してようやくたどり着いた1980年刊行の著作。インターネットやコーパスはおろか、ワープロすらない時代に編まれた本書における英語と日本語の微妙なずれ(ニュアンス)に関する分析的な記述の豊かさには恐れ入る。和英の部では、歌舞伎の用語などやや古い言い回しを無理やり(しかし十分的確に)英語に直している感もなきにしもあらずだが、解説の加島祥造に「…古臭いと感じる人がいれば、その人の日本語語彙が狭くて浅いのだ」と一蹴され、我が身の教養のなさを恥じ入るばかり。2016/08/16
Ryoichi Ito
8
読み進むに従い,英語の理解は無理だという気分に。「英語はそれが単語であれ,フレーズであれ,センテンスであれ,2つに1つの動機から発せられていると思わなければならない。それはコメントしようとしている対象に対するapprovalか,disapprovalかのどちらかである」 womanは優柔不断な人間のこと。男にも使われる。He is an old woman.は「女の腐ったような男」という酷評。解説者によると,著者は吉田健一と並ぶ英語力練達の人。さもありなん。 2019/03/07
たか
5
ちょっと前にTwitterで話題になっていた書籍ですね.2020/08/10
timeturner
5
エッセイのように書かれているので、好きなところからつまみ読みできる。知らなかったことが次々と出てきて茫然自失。読んで納得してもすぐに忘れてしまうから、常に手元に置いて、見慣れた言葉も念のために引いてみるための辞典だと思う。2019/11/01