講談社選書メチエ<br> 記憶術全史 ムネモシュネの饗宴

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講談社選書メチエ
記憶術全史 ムネモシュネの饗宴

  • 著者名:桑木野幸司【著】
  • 価格 ¥2,145(本体¥1,950)
  • 講談社(2018/12発売)
  • ポイント 19pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065140260

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内容説明

スマホをアップデートしたら、画面がガラッと変わって、お目当てのアプリや写真がどこにあるのか分からなくなった……そんな経験を思い出せば、「記憶」は「場所」と結びついていることが分かる。この特性を利用して膨大な記憶を整理・利用できるようにする技法が、かつてヨーロッパに存在した。古代ギリシアで生まれ、中世を経て、ルネサンスで隆盛を極めた記憶術の歴史を一望する書。最先端で活躍する気鋭の著者による決定版!

目次

プロローグ ムネモシュネの饗宴──開宴の辞
第1章 記憶術の誕生
第2章 ルネサンスの記憶術
第3章 忘却術とイメージの力
第4章 天国と地獄の記憶──ロッセッリ『人工記憶の宝庫』
第5章 饒舌なる記憶──デル・リッチョ『記憶術』の世界
第6章 テクストの中の宇宙──チトリーニ『ティポコスミア』が描き出す建築的情報フレーム
第7章 混沌の森から叡智の苑へ──デル・リッチョの記憶術的理想庭園
第8章 記憶術の黄昏──シェンケルの「方法的」記憶
エピローグ 終わらない宴

書 誌
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サアベドラ

31
古代ギリシア・ローマに起源を持ち、ルネサンス期に流行したという記憶術の指南書を図像学や表象文化論などを手がかりに読み解く。著者は気鋭の西洋美術・建築史家。2018年刊。記憶術自体は現在「場所法」とか「マインド・パレス」などと呼ばれているものに近い。情報の洪水が世界を覆い始めていたこの時代、西欧知識人たちは知識=智慧という前提のもと、あらゆるものを記憶しようと躍起になっていたらしい。その様は現在の我々から見ると滑稽にさえ感じられるが、確かにこれも人類の知的探求の一コマなのだろう。楽しく読めました。2019/02/16

yutaro13

28
ヨーロッパにおける記憶術の盛衰を追う。記憶術とは「心の中に仮想の建物を建て、そこに情報をヴィジュアル化して順次よく配置したうえで、それらの空間を瞑想によって巡回」するというもの。紙の調達が不自由だった古代ギリシアで長大な弁論を暗唱するために考案された記憶術は、変質を被りつつも中世を生き延び、情報の飛躍的増大を経験したルネサンス期に最大の質的変容を遂げ、印刷本の発明とともに情報処理のパラダイムが転回するに及んで忘れ去られた。「全史」と題するのは大仰すぎるとは思うものの、知的興奮を刺激される本には違いない。2019/04/19

デビっちん

25
外付けHDDやUSB、あるいはクラウド上のストレージに情報を保管している現代は、中世の紙媒体から脳内の仮想空間に情報を保管していることと同じようであるという説明が妙に印象に残りました。情報は何でもかんでもそのまま保存しっぱなしにするのではなく、秩序的空間連鎖とイメージ化を組み合わせ、日々巡回することで情報への記憶もアクセススピードも高まるのだと思います。記憶術のやり方や歴史だけでなく、芸術への関連や研究者への言及もされていたのが乙なものでした。2019/02/16

masabi

18
【概念】古代から初期近代までの記憶術を辿る。【感想】場所 、イメージ、秩序を基礎にした建築的記憶術が時代を経ていかに変化していったのか。古代の長時間の演説を支え、初期近代には立身出世の道具、情報爆発の対応として。最後には外部媒体の活用に道を譲る。 2019/01/27

まろにしも

14
ルネッサンスが沸き起こる過程で一緒に古代の記憶術が復興していく背景が興味深かった。近代に向かう中で記憶術がなぜ衰退していったのか? 記憶するという本来の目的から離れ、脳の潜在能力の覚醒を引き起こす手段として記憶術を捉えたとき、AIによるシンギュラリティが迫る現代において再び、人類にとって強力なツールとなり得ないだろうか。2019/01/01

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