内容説明
ヘルメス文書、グノーシス、カバラー、タロット、黒ミサ、フリーメーソンやイリュミニズムなどの秘密結社、そしてナチ・オカルティズムとユダヤ陰謀論……古代から現代まで、オカルトは人間の歴史と共にある。一方、「魔女狩り」の終焉とともに近代が始まり、その意味合いは大きく変貌する――。理性の時代を貫く非理性の系譜とは何か。世界観の変遷を闇の側からたどる、濃密なオカルティズム思想史!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
169
いったいルネサンス期のオカルティズムや魔術再興とは何だったのか。その一つは古代由来の高等魔術、もう一つは中世の民間呪術だという。高等魔術はヘルメス学や新プラトン主義やカバラーを継承し、正統キリスト教から距離を取りつつ、ルネサンスが自ら招いた宗教戦争や異端審問を乗り越えんとする寛容主義の一翼を担ったらしい。近代に入るとオカルティズムは右派・左派思想や疑似科学に入り込み、個人と宇宙を照応させる非理性の原理となった。差別や偏見も含まれるが、その源流にある人間を縛るものへの反抗やルネサンスの寛容精神は見逃せない。2020/05/25
藤月はな(灯れ松明の火)
88
オカルトにも左・右派があるというのに驚きつつもルカ・グァダニーノ版『サスペリア』での「ナチズムもカルトも儀礼を基に犯罪行為を行っている」という言葉を思い出してしまう。黒ミサと呪詛、レヴィから影響されたエレナ・ブラヴァスキーによる神智学の確立とそのスキャンダルがもたらした皮肉な結果、千里眼実験からの日本でのオカルト研究の冷遇、『シモン賢者の議定書』、降霊術の流行など、幅広い。最後の現代のポップカルチャー内に息付くループ性への指摘には不覚にもドキリとさせられてしまった。2019/03/10
かおりんご
29
とっても真面目なお話。オカルトが発展した歴史といいましょうか、ヨーロッパにおける宗教の歴史といいましょうか。オカルトに関するいろんな研究が行われていて、正直驚きました。日本はエンターテイメント要素が強くて、オカルトの研究後進国だなと感じました。2019/07/10
イトノコ
24
図書館本。18世紀末に始まるオカルトの歴史を、20世紀初めまで解説。/興味深いのが、オカルティズムの始まりが魔女狩りの終焉と時代を同じくすると言う導入。つまりそれまで絶対的な権威を誇っていたカトリックがその説得力を失った時に、人々の心の隙間を埋めるようにオカルティズムが台頭してきたと。そして科学の実証主義に晒されながらもその命脈を保ち続けてきた。であるならば、神に代わって信ずるべき拠り所となった科学が必ずしもヒトを救わない現代、その隙間に再び、そして新たなオカルティズムが現れる可能性もあるのではないかと。2021/07/25
ラウリスタ~
19
18世紀末のフランス革命後、王と神を失ったフランスは、理性、人間、死者を最上位に置く。19世紀とはカトリックの力が弱まる中で、それでも霊的存在を必要とした人々が、新たな神である「科学」に基づいてそれを説明しようとした結果、逆説的にオカルティズムが流行した世紀なのだ。ページの半分がカタカナ固有名詞な箇所は辛いが(時に三面記事的になる)、娯楽に回収されてしまったかに思えるオカルトが、20世紀前半の悲劇につながっている(こう書くと陰謀論っぽいが)として、「広義でのオカルト」研究のアカデミスム内での必要性を説く。2020/06/09
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