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内容説明
福沢諭吉は、西洋文明との対比のなかで、日本文明の特質を根源的に考察し、国家の発展には何が必要かを問い続けた。そして、脈々たる熱情をもって人々に精神の変革を訴えかけた。本書は、中津藩時代から晩年まで、因習に挑み、明治国家建設に邁進した生涯を描いたものである。『学問のすゝめ』『文明論之概略』の論評や朝鮮問題の再検討など、随所に示される著者の見解は、国家の歩みとともにあった人物の統一的把握をもたらすだろう。福沢の思想の真髄を明快に伝える最良の評伝。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんがく
14
著作や思想だけでなく、人物や経歴にも多く触れている福沢諭吉の評伝。やや福沢先生贔屓なところもあるが、彼の政治への関わり、教育者としての顔、対外観などについてきれいにまとまっている。何よりも独立を重視し、酒好きで皮肉屋で家族思いの福沢像が見えてきた。2020/04/02
まふ
10
福沢の伝記。分かりやすくよく書けている。特に「学問のすすめ」「文明論の概略」を高く評価しているところはまったくよく分かる。2002/06/20
バルジ
3
近代日本を代表する思想家、福沢諭吉の思想と生涯を知れる最良の概説書。 西洋と日本の間で揺れ動く明治日本を強い愛国心と批判的精神でオピニオンリーダーとなった福沢の姿は近代日本にとって幸運としか言いようがない。 揺れ動く国際情勢の中で自国の歴史に立脚し、いかに諸外国と向き合っていくのか、福沢の残した思想的業績は現代日本ひいては国際社会の中でも十分通用可能であろう。2019/03/11
Yuki
1
世は行楽の春なれど知恵の林に憧るる~2018/12/02
OKB
0
『福翁自伝』を絶賛しその内容の大半は福沢の若き日々の回想であることを繰り返し指摘した著者であるが、本書で最も印象的だったのも維新直後までの時期であった。維新後の記述については、特に対外政策の記述は坂野潤治などの優れた研究に拠っているが、日本外交史研究の大家たる著者だからこその読み込み方を見たかったと感じるのは欲張りすぎなのだろうか。ともあれ、著者にしては珍しく熱量のある筆致の本書は、福沢の生き方に人を一定程度感化させ、また諸論考を熟読しようと思わさせる意味においては、十分に成功していると思われる。2020/02/04