内容説明
不倫相手の子供を流産し、会社も辞めた28歳ののりこは、祖母の暮らす海辺の町にやってきた。海に潜り続ける日々の中で出会った「ぱちこ」と呼ばれる少女は、一言も口をきこうとしない。ただ、のりこに小さな白い魚の入ったカプセルを渡してきた……。(表題作) 閉塞感を破り、再生を模索する姿を描いた、第8回小説宝石新人賞・優秀作を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
148
大西智子さん初読み。不倫と流産で傷ついた28歳ののりこを主人公にした物語は、祖母の暮らす海辺の町で小3女の遊子との出会いから始まって、人情味豊かな人々との触れ合いが心地好い。連作短編形式で視点を変えながら、成長してゆくのりこと遊子の姿を追っていて読み易い。特にのりこが能力や容姿に恵まれている訳でなく、何処にでもいそうなキャラなのが親近感を持てて素直に応援できるし、起きる出来事もケレンがなくて「人生って、そういうもんだよなぁ」とシミジミした。切ないシーンもあるが、総じて微笑ましく穏やかな気持ちになれる良作。2021/04/08
machi☺︎︎゛
139
不倫相手の子供を流産し挙げ句の果てに捨てられたのりこ(28)は傷心のまま祖母の暮らす海辺の町にやってきた。そこで出会ったのは口のきけない小3の女の子。彼女が口をきけないのにはある理由があって。綺麗な話と思いきや東京に戻ってからののりこの話では浣腸大好き男やら強烈キャラも出てきて面白かった。小3の遊子の話には女子特有のジメジメした出来事もあり、お互いに模索しながら成長する姿が印象的だった。最終的には遊子も小6になりのりこ自身もいろいろな決断をしながら自分の居場所を確保する。初読み作家さんだったけどよかった2020/04/30
のんき
100
のりことぱちこが、海で出会います。のりこもぱちこも、たびたび会ってるうちに、二人とも変わっていきます。小さなカプセルの中で、もがいていた魚だったのが、海で自由に泳げるようになっていく感じ。でも、まあ、だから安全安心というわけじゃなく、二人とも、これからの人生いろいろあっても生きていけそう!二人だけでなく、わたしだって今は、コロナもあるし、色々あります。これからも何が起きるか、どんな経験するかわかりません。でも、二人のように、頑張って生きていけたらいいな2021/01/20
アッシュ姉
77
気になってた大西さんのデビュー作。再生と成長の物語というよくあるテーマだが、オリジナリティに溢れ、とても瑞々しかった。キャラクターも新鮮で面白い。主人公ののりこが年齢は違うのに江口のりこさんに重なって、勝手に変換しながら楽しんで読んだ。他作品もぜひ読みたい。2022/08/31
ちょこまーぶる
50
各章ごとに良かったなと思わせてくれた一冊でした。小さな町の閉塞感の中で、心を癒しに来たわけでは無かったけど、生活をしながら様々な人達との出会いの中で心の喪失感を少しづつ満たしていく女性の話ですが、心の再生の過程が丁寧に表現されているように思えて、読み進めながら自分自身も暖かい気持ちを感じられましたね。そして、登場人物のキャラクターが一人一人素敵でした。特に、僕は診療所の医師と主人公の祖母との関係性や生き方がに共感する想いを抱きました。それから、装丁もとても素晴らしいと思いましたね。2024/05/11
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