内容説明
優れた厨師(ちゅうし)を輩出することで有名な斉家村(せいかそん)に生まれた見習い料理人・斉鎌(せいれん)は、ある日見知らぬ男から不思議な鍋を借り受ける。しかしそれは煮炊きをしないでいると腹を空かして動物や人間を襲い始める、とんでもない鍋であった。鍋を返すまで故郷に帰ることは叶わない──流浪の身となった斉鎌は、鍋とむらに代々伝わる霊力を持った包丁を頼りに、戦場の飯炊き場、もののけの棲み家、名家の隠居所などで腕を揮いつつ、鍋の元の主を捜し歩くが……。若き厨師と怪しい鍋が旅の途上で出会う人々と不思議、そして料理。無類の面白さに満ちた美食中華幻想譚!/解説=南條竹則
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダミアン4号
76
中国古典の匂いがする!西遊記?紅楼夢?水滸伝?あの何とも言えない独特の雰囲気が実に心地良い(笑)厨師(コック)を輩出する村の出身の主人公が、奇妙な人物から不思議な“鍋”を借り受ける。この鍋、水を煮ただけでも美味しいスープが出来るという“魔法の鍋”けど…使わずにいると鍋が“腹を空かせて”周囲に襲い掛かるという恐ろしい“物の怪”!村で騒動を起こし、鍋を元の持ち主に返すまで帰還する事まかりならん!というお達しを受けた主人公は、各地を転々とする羽目に…戦場から富裕層の台所、果ては神様の…いわゆる連作短編集なので、2019/05/07
アルピニア
73
読友さんのレビューに惹かれて手に取った。初読みの作家さん。昔の(解説には清朝時代と書いてあった)中国を舞台にした奇譚。見知らぬ老人から魔の鍋を借りてしまった斉鎌は鍋を返す旅に出る。魔は魔を呼んでしまうのか、斉鎌は次々に不思議な出来事に遭う。じわじわと怖い「古家の怪」、人間味のある神が登場する「川神への供物」人の恐ろしさを描いた「乳の味」など12の連作短編。それぞれの物語が次第に収束して最後に見事にまとまる。日本の妖しとは一味違う雰囲気を楽しむことができた。出てきた饅頭や鳥肉の料理がとても美味しそう。2019/05/06
藤月はな(灯れ松明の火)
63
厨師を代々、輩出してきた斉家村の斉錬は、不思議な道士から精進料理を作る為に鍋を借り入れた。この鍋、何も調味料を入れずにお湯を沸かすだけでも美味しい湯(タン)ができる優れもの!だが、この鍋、始終、煮炊きをしていないと腹を空かせて動物を襲う欠点があった!鍋を持ち主に返す為に村を出る事になった斉錬は、鍋の対として村の宝である「魔除けの包丁」を以て料理放浪の旅に出る事に。もう、この筋だけで料理好き・幻想小説は喰い付く事、間違いなし!特に料理シーンは夜中に読むと危険!個人的に湯葉と茸で作る雉焼フェイク料理が気になる2024/06/15
fukumasagami
39
そこがどこであろうと、斉鎌の仕事はそこにあるものを使って料理を作ることだった。炊事、飯炊きが斉鎌の仕事であり、厨師と立派な呼び名で呼ばれることもあるが、やることといったら空っぽの胃の腑を満たして満たして、ついでに鍋も満たすことだった。 もしも誰かに飯炊きと厨師の違いを聞かれたら、斉鎌はこう答えることにしている。 「食えるものを出すのが飯炊きで、美味いものを作るのが厨師だ」2019/03/12
はる
34
チラチラと私の苦手な表現が出てきてちょっと読むのが苦しかったです。あと、もっと鍋にも出番があったら良かったな~って思います。確かに鍋が暴れる表現は最初の一回だけなので鍋が暴れるって事を忘れてしまいそうでした。2019/01/27
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