内容説明
右にも左にも怯まなかった日本人がいた!
河合栄治郎は左右の全体主義と闘った思想家です。
戦前の学界を席巻した「左の全体主義」マルクス主義の痛烈な批判者であり、
軍部が台頭すると、「右の全体主義」ファシズムをも果敢に批判。
著書の発禁処分、休職処分のさなか、昭和19年に53歳で亡くなりました。
上智大学名誉教授の渡部昇一氏は、河合栄治郎が長寿であったなら、
「日本のインテリは、30年も早くマルキシズムの幻想から自由になっていたであろう。
つまり河合の死は、日本の知的成熟をざっと30年遅らせたのである」という。
戦後の河合人脈は政財学界に根を張り、論壇を牛耳る進歩的文化人と対峙しました。
門下生の第一世代は、経済評論家の土屋清、社会思想家の関嘉彦、政治学者の猪木正道らで、
第二世代には、碧海純一(東京大学教授)、岡野加穂留(明治大学教授)、田久保忠衛(杏林大学名誉教授)、
伊原吉之助(帝塚山大学教授)ら、京都大学では高坂正堯、勝田吉太郎、木村汎ら各氏が、この人脈に連なります。
米国に守られながら反米を叫ぶという“進歩的大衆人”の精神の歪みは、日本を漂流させてしまう――。
日本の背骨を支える揺るぎない思想とは何なのか。歴史の転換点で、圧倒的な敵に挑んだ思想家、
河合栄治郎の闘いを通して、日本のありようを考える。
この思想家を知らずして、日本の将来を語るなかれ。
産経新聞長期連載「独立不羈 河合栄治郎とその後の時代」に加筆、再構成し単行本化
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
十割そば
3
安部首相が休暇に読んだ本として紹介されていたので、購入。 河合は、身に危険が及ぶおそれがあったにも拘わらず、自由主義の立場から、5.15事件や2.26事件の後に、軍部独走や全体主義を批判する論陣の最前線を張っていた。その覚悟には感服。 現代においても同様の問題はあり得る。日本全体が戦争など大きな流れに飲み込まれている場合に、我々はどう行動すべきか、自分の所属する組織の中での大きな流れに対してどう行動すべきか。自分には悩ましく、河合の「唯一筋の道」という信念が唯々眩しい。2019/05/12
数学の問題集
3
河合栄治郎に関する作品としては、本著にも名前が出てくる松井氏の『河合栄治郎 戦闘的自由主義者の真実』を読んだことがある。それと比較してみると、本著では河合の思想・哲学についての描写が少ないように感じる。しかし、もともと新聞の連載ということが関係しているのか非常に平易な表現を用いていることなどから、河合の評伝として概観を掴むのには適していると言える。また、松井氏の著作では描かれていなかったこともあげられており、河合の死後に関して興味深い。本著を読後、松井氏の作品を読むとより深く理解することができると思う。2017/02/21
たっつん
1
右にも左にも流されず、自由主義を貫いた人。敵対する側であっても、弾圧には与しない。終戦前に53歳で早逝したのが残念。これほどの人物なのに名前も知らなかったのが不思議だ。2022/05/20
おとう
0
すばらしい。2019/03/19
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