庭の話

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庭の話

  • 著者名:宇野常寛【著】
  • 価格 ¥2,750(本体¥2,500)
  • 講談社(2024/12発売)
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  • ISBN:9784065377918

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内容説明

『暇と退屈の倫理学』『中動態の世界』への刮目すべき挑戦が現れた。
情報社会論より発せられた「庭」と「制作」という提案から私は目を離すことができずにいる。(國分功一郎)

プラットフォーム経済に支配された現代社会。しかし、そこには人間本来の多様性が失われている。
著者は「庭」という概念を通じて、テクノロジーと自然が共生する新たな社会像を提示する。(安宅和人)

*プラットフォーム資本主義と人間との関係はどうあるべきなのか?
ケア、民藝、パターン・ランゲージ、中動態、そして「作庭」。一見無関係なさまざまな分野の知見を総動員してプラットフォームでも、コモンズでもない「庭」と呼ばれるあらたな公共空間のモデルを構想する。『遅いインターネット』から4年、疫病と戦争を経たこの時代にもっとも切実に求められている、情報技術が失わせたものを回復するための智慧がここに。

【目次】
#1 プラットフォームから「庭」へ
#2 「動いている庭」と多自然ガーデニング
#3 「庭」の条件
#4 「ムジナの庭」と事物のコレクティフ
#5 ケアから民藝へ、民藝からパターン・ランゲージへ
#6 「浪費」から「制作」へ
#7 すでに回復されている「中動態の世界」
#8 「家」から「庭」へ
#9 孤独について
#10 コモンズから(プラットフォームではなく)「庭」へ
#11 戦争と一人の女、疫病と一人の男
#12 弱い自立
#13 消費から制作へ
#14 「庭の条件」から「人間の条件」へ

「家」族から国「家」まで、ここしばらく、人類は「家」のことばかりを考えすぎてきたのではないか。しかし人間は「家」だけで暮らしていくのではない。「家庭」という言葉が示すように、そこには「庭」があるのだ。家という関係の絶対性の外部がその暮らしの場に設けられていることが、人間には必要なのではないか。(中略)/「家」の内部で承認の交換を反復するだけでは見えないもの、触れられないものが「庭」という事物と事物の自律的なコミュニケーションが生態系をなす場には渦巻いている。事物そのものへの、問題そのものへのコミュニケーションを取り戻すために、いま、私たちは「庭」を再構築しなければいけないのだ。プラットフォームを「庭」に変えていくことが必要なのだ。(本文より)

目次

#1 プラットフォームから「庭」へ
#2 「動いている庭」と多自然ガーデニング
#3 「庭」の条件
#4 「ムジナの庭」と事物のコレクティフ
#5 ケアから民藝へ、民藝からパターン・ランゲージへ
#6 「浪費」から「制作」へ
#7 すでに回復されている「中動態の世界」
#8 「家」から「庭」へ
#9 孤独について
#10 コモンズから(プラットフォームではなく)「庭」へ
#11 戦争と一人の女、疫病と一人の男
#12 弱い自立
#13 消費から制作へ
#14 「庭の条件」から「人間の条件」へ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

49
「庭」とは私的で外部との緩衝の場であることによって個人を守り、かつコミュニケーションの場でもある。最も近い言葉では「それぞれの畑を耕す」というのが近いだろう。ただし、それでは誤配が足りない。自分の思う通りにしてはダメで自然(生態系)が必要だ。この「庭」が抽象的で、様々な事例を用いて留保が付いている。恐らく前半で断念する読者が多いのではないか。しかし、飛ばしてでも第8章と第9章を読んでほしい。そこは本書のもう一つの重要なテーマが直截的に書かれている。この前後では國分功一郎や柄谷行人など、思想や哲学の言葉を引2025/03/31

特盛

32
評価4/5。批評家、宇野常寛が語る。SNS時代の狂った承認欲求奴隷の呪縛からどう抜け出るか。メタファーとしての庭を構想する。事物同士がコミュニケーションし、そこに関与できるがコントロールは出来ず、孤独であり共同体から離れ世界と向き合える場。自分にとっては、この読書メーターも、山登りもそうだなとうなづけた部分があった。國分功一郎や吉本隆明、アーレント等単に援用ではなく、議論の素材として料理しているのは刺激的だ。ただ、SNSの承認欲求奴隷に陥っているのは結構少ないのでは今や。私もあれ程やってたXは距離を置いた2025/04/23

itchie

19
全体の7割、銭湯の話あたりまでは概ね頷きながら読んだが、「戦争」の話から急激に観念的になり、拡散しすぎた印象。 「共同体」礼賛への違和感、孤独でいられる「庭」の必要性、SNSでの相互評価ゲームではなく、人間ではない事物と向き合うべき……。まったく同意なのだが、この本は自己啓発本ではなかったはず。新たな社会のあり方を提言する本なのだから、宇野さん的「オタク」だけでなく、対極にいる「ヤンキー」たちまで包摂する処方箋を提示する必要があったんじゃないの?2025/05/10

takka@ゲーム×読書×映画×音楽

15
SNSプラットフォームによる肥大したコミュニケーションに変わる「庭」という概念の話。また「庭」に発展させるための「人間の条件」、「弱い自立」は自分が共同体や働き方について考えていたことが言語化されていた。一番考えさせられたことは、「共同体への回帰」と「孤独」の話。私自身もいじめを受けたことや病んでドロップアウトした今の孤独時代と、寂しさからSNSのグループ運営を経験しているので、両方で得たことと忘れていたことなどを振り返るきっかけになった。もっと感想を書きたいので、noteで読了記録(制作)するか。2025/03/18

mikky

12
とても面白い内容だった。著者の主張にはやや極論に感じる部分も自分にはあり、すべてに賛同するわけではないけれど、おおむねここしばらく頭の中だけで考えていたことを具体的に言葉で形を与えてもらったようで読み終えたあと脳内がすっきり整理された感覚があった。プラットフォームに対抗しうる庭について、いくつかの例を引きながら現実的な論考を重ねていくのが私には好ましく感じられた。またそのなかで引かれた坂口安吾の『戦争と一人の女』の構造が、10代から20代に差し掛かるころの自分の思考をなぞるようで改めて読み直したくなった。2025/04/02

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