岩波新書<br> 戦国大名と分国法

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岩波新書
戦国大名と分国法

  • 著者名:清水克行
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 岩波書店(2018/12発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004317296

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内容説明

血で血を洗う戦国乱世,華々しく天下を目指した大名たち,のはずが!? 厄介な隣国,勝手な家臣,喧嘩に盗みに所有地争い,会議の席順や落とし物まで,この世はもめごとの種ばかり.新たな社会のルール作りに懸命に挑んだ大名たちを待ち受けていた運命とは──.悩める大名の素顔を語る,かくも雄弁な〈法〉の面白さ!

目次

目  次
   はじめに──分国法の世界へ
   分国法への招待/大名はつらいよ/分国法の基礎知識
 第一章 結城政勝と「結城氏新法度」─大名と家臣たち─
   乱世の子/ 「新法度」制定の背景/奇妙な法律/羅列された条文/法の未熟さ/ゴリ押しする家臣たち/炎上する喧嘩/戦場のカオス/家臣への諮問/家臣と大名の合意/ 「古法」の吸収/大名への忠節/政勝のいらだち/その後の結城家
 第二章 伊達稙宗と「塵芥集」─自力救済と当事者主義─
   “独眼竜”の曽祖父/ 「塵芥集」と「御成敗式目」/連想と借用/たった一人の戦い/誤訳と直訳/ 「塵芥集」の個性/復讐と法律/ 「生口」を探せ/冤罪の晴らし方/生口捕縛の修羅場/落とし物のゆくえ/ 「万民を育むため」/稙宗の有頂天/伊達天文の乱/稙宗の夢のあと
 第三章 六角承禎・義治と「六角氏式目」─戦国大名の存在理由─
   石垣と楽市の先進性/先進地域の分国法/異形の分国法/大名を縛る法/父子二重権力/日本版マグナ・カルタ/ 「徳政」としての分国法/抵抗する民衆/手ごわい村々/自力救済から裁判へ/訴訟手続き法/戦国大名の存在理由
 第四章 今川氏親・義元と「今川かな目録」─分国法の最高傑作─
   最強の戦国大名は誰か?/室町時代の地政学/ 「かな目録」の謎/影の制定者は寿桂尼か?/臨終の床での分国法制定?/ 「あとがき」に記された嘘/共同作業で生まれた法/寄物・寄船の法/中分の法思想/喧嘩両成敗法/社会と切り結んだ法/新しい「国家」/今川義元の登場/ 「かな目録」の修正/下人の家族/戦国大名宣言/ 「国民」の創生/義元の統治構想/桶狭間の悲運
 第五章 武田晴信と「甲州法度之次第」─家中法から領国法へ─
   駒井高白斎の原案/ 「かな目録」の引用ミス/晴信と家臣たち/ 「非理法権天」/二六条本から五五条本へ/ 「自由」と「姦謀」/五五条本はいつできた?/新たなバージョンアップ/村と戦国大名/借銭法度と晴信の死闘/家中法から領国法へ
 終章 戦国大名の憂鬱
   分国法のねらい/分国法のパラドックス/法廷の現実/戦場と法廷のジレンマ/分国法はいらなかった/彼らが歴史に遺したもの
   参考文献
   あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

98
日本史の教科書で名前と制定者は記されているけど、その内容に対しては触れられない分国法。中には現代にも通用する、乱世を円滑に治めるための素晴らしいものもあった。しかし、その法も制定者も時代の流れに不遇にも消えた。それは部下や庶民にとっては「はぁ?法だって?ンな、まどろっこしくて上の連中の為のモンなんて俺らの役に立つかよ!力で解決した方がマシだろうが」と言うものだったから。自力救済の条件付きの許可を制定したのに家族からも嫌われた伊達稙宗、最も優れた法を制定したのに無念としか言えない最期を遂げた今川氏が印象深い2018/11/05

HANA

65
戦国大名が定めた分国法を解説した一冊。地味な題材なのだがこれが驚くほど面白い。元々興味のある時代な上に、それぞれの分国法の紹介の上に、それらの作られた背景が説かれているからかな。紹介されている分国法はそれぞれ結城、伊達、六角、今川、武田の五者。愚痴交じりのものから完成された法典まで、読んでいると大名の置かれた立場ってやっぱり厳しいものだと再確認させられた。他にも戦後の恩賞の問題や合戦時の訴訟の事など、知らずにいた面白い知識も多数。何となく無味乾燥な法の背後から、大名の悩みのため息が聞こえてきそうであった。2018/09/08

Book & Travel

64
『ハードボイルド~』で有名な著者。本書では戦国大名、結城、伊達、六角、今川、武田の五家の分国法を取り上げる。硬派なテーマだが判り易く書かれ、法の条文とその背景から当時の社会問題や大名の悩みが浮彫りにされ面白い。家臣への愚痴のような結城、完成度が高い今川など形は様々だが、大名が領国に秩序を築こうと苦心した様子が窺える。ところが最終章で分国法はいらなかったとの結論に。コケそうになるが、滅びた五家に対し残った織田や徳川には分国法がなく、法整備より領土拡大こそが結局あらゆる問題を解決したとの見方に納得させられた。2018/10/24

もりやまたけよし

60
今川義元ってしっかりした人だっただなんて、目からウロコでした。 あとコンプライアンスが国を滅ぼすという印象を持ちました。やはり管理はごめんです。2019/02/06

Miyoshi Hirotaka

51
生類憐みの令により、自力救済、自力解決による武断政治から法の支配による文治政治へと転換。これには戦国時代からの長い取り組みがあり、その痕跡を示すものが分国法。しかし、法律といいながら愚痴が書いてあったり、不用意な引用により意味不明になったり、誤記によりパクリ元がばれたりと可愛らしい間違いがある。一方、早くに法整備を行った大名は没落。皮肉にも政治・軍事判断の足かせになったからだ。戦国時代は法整備もせず、領土拡大に邁進する大名が求められていた。作る必要もない法律を作り、人や組織を疲弊させるのは現代にも通じる。2019/05/09

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