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内容説明
編集感覚に優れた正岡子規の薫陶を受けた漱石は、わが国最初の装幀家・橋口五葉を育てあげ、さらには朝日新聞文藝欄の編集者として精力的に活動する。寺田寅彦、鈴木三重吉、中勘助、野上彌生子、志賀直哉など多くの作家を登用、新たな文学の展開に大きく寄与した。漱石の編集者としての軌跡に光をあてる画期的文芸評伝。 ※単行本に掲載の写真は、電子版には収録しておりません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
128
漱石関連の書籍をある程度読んでいれば、目新しさはないが、改めて振り返る上で 新しい視点を得られる。学生時代から子規の死まで続いた交友は、若者が抱く同性愛的憧憬は確かに感じる。研鑽においての同志を失い、ロンドンで日本の文壇の遅れを痛感し、編集者というか、導く者としての使命を強く感じたのであろう。そして、彼のその志をそばで見て支えた寺田寅彦の存在は大きい。留学中の英女王の死去と壮大な葬式が明治天皇崩御時に漱石に与えた考え方への影響、天皇崩御後に自決した乃木夫妻についての想いは『こころ』の理解に一助となる。2019/05/02
Willie the Wildcat
64
「木曜会」などの私的交流と、朝日新聞文芸欄等責任者の公的言動を通した育成。信条や師弟関係などの枠に捉われず、文壇的党派性のない文芸界の発展が念頭の姿勢が全て。心底に、子規への使命感も滲む気がする。加えて、装幀家などの”裏方”の成長にも寄与。突き詰めると、氏のヒトとしての魅力が、ヒト・モノ・カネを惹きつける感。漱石山房の印を押したくて仕方ない氏の子供っぽさも、もれなく氏の魅力也。印象的なのが『伽藍』の件。二葉亭四迷氏への”同質”の思い。因みに思わず笑ったのが、虚子氏の”万鳥”の件。著者の漱石愛が溢れてる。2019/01/11
kaoru
10
漱石の生涯を「編集者」という側面から描いた著書。装丁家橋口五葉を起用し、弟子たちを作家として育てようと努め、朝日新聞の文芸欄に心を砕く。「音楽会や帝国座」に通うエリート層に属しながら長塚節の『土』に感動するなど、当時の文学に幅広い目配りを忘れず、岩波書店に多大な貢献をした。これまで教師や創作家としてのみ注目されがちだった漱石の新しい面を知った思いがした。漱石の人格的マグネティズムに気づいた芥川が「門弟の誰れもが感取できなかった危険な電磁波を理知的な感覚によって捉えた」という記述は正鵠を得ていると感じた。2018/12/24
Sosseki
2
新聞社勤務、会を通しての弟子の育成、編集者としての一面を子規から引き継いだ漱石という視点での一生を時系列に紹介している。今までバラバラに読んでいた書簡や出来事の前後関係がハッキリして、なかなか面白かった。力作!2019/02/23
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