アメリカ経済 成長の終焉 下

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アメリカ経済 成長の終焉 下

  • ISBN:9784822255770

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内容説明

「私が本書でもっとも衝撃を受けた章は、翻訳で「1920年代から50年代の大躍進:何が奇跡を起こしたのか?」と題された第16章である。
1920年代までの技術革新がマクロ経済レベルで生産性を飛躍的に高める契機となったのが、何と1929年より始まった大恐慌と1940年代前半の大戦だったというのである。
ゴードン教授は、こうした大恐慌と大戦の影響は、戦後の1970年まで米国の生産性を持続的に向上させてきたと主張している。
ここで衝撃というのは、私を含めて多くの経済学者が、大恐慌や戦時経済を大きな負の供給ショックと捉えて、生産性向上の深刻な阻害要因と解釈してきたからである。
確かに、大恐慌を契機に実施されたニューディール政策や莫大な戦争支出は、ケインズ経済学的な意味で経済刺激効果を生み出してきたが、それは、供給面ではなく、需要面を通じた効果とされてきた。
それが、ゴードン教授によると大恐慌と大戦によって米国経済の供給サイドが飛躍的に改善されたというのであるから、私たちが持っていた常識を根底から覆す主張ということになる。」
――齊藤誠一橋大学教授の解説から

アメリカの生産性と経済成長に関する議論を一変させる傑作である。ロバート・ゴードンは、1870年以降、驚異的なペースでアメリカ人の生活が向上したことを時系列で描きつつ、それを可能にした大発明の恩恵は一回限りのもので、
繰り返すことができないのではないか、という根本的な疑問を提起する。具体的で詳細な記述と効果的で明晰な経済分析を組み合わせることで、ゴードンは説得力ある主張を展開している。経済史の金字塔である。
――ケネス・ロゴフ、『国家は破綻する』の共著者

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Miyoshi Hirotaka

24
社会を変えた大変化は記録されない。1920年代までの技術革新は大恐慌と戦時経済で飛躍的に改善された。危機対応として展開された労働時間短縮と生産規律の向上の成果は軍需から民需へ転換した後も引き継がれた。軍人が国費で大学教育を受けられる制度も労働力の質向上を後押しした。一方、1970年代より成長は徐々に減速。低中所得者の所得の伸びが止まり、格差が拡大。生産や労働力をアウトソーシングしたことにより賃金の下落圧力が強まった。さらに、教育、年金などの債務が拡大。IT分野での技術革新はこれらを解消するに至っていない。2019/07/27

koji

14
この上下巻千頁を超える大作を読み終えて、(齊藤教授のあとがきの言葉どおり)この経済書を手許に置いて自国の将来を語れるアメリカ人をとても羨ましく思いました。そして本書は各章のまとめを拾い読みするだけでなく、「神は細部に宿る」の言葉通り、本文の小さな記述まで味わい尽くすことに醍醐味があると分かりました。結論は悲観的な未来予測になっていますが、それを乗り越える労働スキル、人的資源、教育の向上に望みを持っていることに、著者の賢明さと知恵を感じました。どなたか同じように日本経済の処方箋を描いてくれないでしょうか。2019/04/12

人生ゴルディアス

4
1940年以降、1970年までが大進歩の黄金期で、それ以降では生活全体が入れ替わるというのではなく、部分部分でそれなりのものが出る、という流れ。ネットとデジタル化の影響でさえ、1994年から2004年でほぼ使い尽くし、その後は大きな変化を与えていないとする。実際、スマホもPCも高性能すぎて買い替える理由がない。ただ、自動運転は広く行きわたれば土地の活用と都市の景観が根底から変わるし、ChatGPTのようなAIは「プログラムを生産する機械」になり得るため、驚くべき変化が待っていそう…な気はするが、果たして。2023/12/05

GASHOW

4
今日の世界が繋がった経済を実感できるのは、アメリカのシリコンバレーを中心としたテクノロジーのおかげであり、世界の基軸通貨としてのドルの役割がある。アメリカさえも、グローバル企業から税収を取り損ねているが、先進国としての市場と労働人口のバランスが優れている。中国やインドやアフリカは、先進国のインフラが整っていないが、人口がいるため成長する可能性はある。世界の金持ち8人が世界の富の半分を持っている。アメリカの格差は、成長に必要な中流を無くしているので、終焉を迎える可能性が高い。2019/08/01

アルミの鉄鍋

4
★4 第3部あたりから面白くなった。巷にあるイノベーション=経済成長ではないというのをある程度の根拠から考察。分厚いがとてもテンポよく読めて面白い。分厚さだけで読まないのはもったいない本だと思う。2018/11/29

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