内容説明
1927年、詩人は34歳。年間121回の朗読会。移動また移動。避暑地ヤルタでの忙しい夏に叙事詩『ハラショー!』は完成する。残された時間は少ない。予告した『とてもわるい』は散逸し、『声を限りに』は未完に終わり、ついに本作が最後の長詩となる……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
30
多分朗読するのを前提に創られた作品(本来あらゆる詩がそうなのかもしれない。あらゆる戯曲が舞台に掛けられる事を想定して書かれる様に)。後半は深夜のラジオドラマに聴き入っている気分だった。カフカは子供を怖がらせるほど朗読が巧かったし、太宰は「駈込み訴え」を奥様に口述筆記してもらう際、一切の淀みも無かった。それらと似た憑依性を感じた。ただ著者の場合は激しい熱を帯びながらもどこか冷静な扇動的傾向が付き纏う。戦え、しかし急ぎ過ぎるなと。現代では映像の無いドラマこそ贅沢。絵心が無くても頭の中では誰もがピカソだからね。2018/10/07
cockroach's garten
27
これまで読んだマヤコフスキー作品で、一番洗礼され、落ち着いた印象を受けた。マヤコフスキーはこの2年後死を迎えるので、ある程度詩人として成熟した、むしろこれから全盛期だったのではないかと思える。作品の舞台は十月革命の前後。二月革命でロシア帝国が崩壊し臨時政府が出来たが、戦争継続を打ち出したし早くも失墜していた。ボリシェビキ政権(ソビエト)を民衆側と見立てて、革命が始まる。扇動的だが、頭のレーニンは英雄として大々的には出てこず、名前が出て来るのみ。あくまでも怒れる民衆の叙事詩として書いてある。2017/06/09
マリリン
20
ロシアというと重厚・堅固なイメージがあったが、マヤコフスキーの詩は明るく力強くコミカルさも感じる中に、主張と抒情もありとても魅力的だ。 義務でもない、ぼくらの作るすべてのものを、ぼくが褒めるのは。祖国の半分をこわすこと、半分を洗い清めて建て直すこと。 とてもいい!なんていいんだろう! この言葉が特に好き。2018/11/30
保山ひャン
2
十月革命叙事詩「とてもいい!」と、マヤコフスキーが「とてもいい!」を朗読した講演会の模様をレポートしたカッシリの「ある日のマヤコフスキー」を収録。聴衆との質疑応答でアンチをへこませ、熱狂を生むところは、今なら動画で何としても見たかった案件。2018/03/10
まどの一哉
0
全体としてとても元気がいい印象。マヤコフスキーは34歳。著者もまだ若いが国(ソビエト連邦)も若いよ。 たいへんな人気者で、溢れる聴衆を前に見事なパフォーマンスを繰り広げるところは、なかなか達者なヒーローであり、少なくとも内気なおとなしい詩人といったタイプではない様子だ。 十月革命叙事詩だからスローガン的なシュプレヒコール的な口調をうまく生かしているのか、それとも伴わない結果を批判するのにアイロニーとして利用されているのかわからない。何れにしても著者を取り巻く世界は流動的だ。2017/04/07
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