幻冬舎新書 『君たちはどう生きるか』集中講義 こう読めば100倍おもしろい

著者名：浅羽通明【著】

幻冬舎（2018/11発売）

• ISBN：9784344985216

内容説明

大ベストセラー、マンガ版『君たちはどう生きるか』は、原作の凄みを全て削ぎ落としてしまった！ かの名著は、友を裏切った少年を諭す道徳の教科書でも単純な反戦の書でもない。美少女ヒロインを陶酔させる戦争賛美の哲学が、マルクス主義と激突する現代思想対決？ ?暴力支配を倒す政治ドラマ？ 丸山眞男も池上彰も誤読した原作者・吉野源三郎の「仕掛け」と裏メッセージを読み解いたとき、説教臭い古典は、いじめの解決、ポピュリズムの怖さまでを甘酸っぱい初恋に包んで訴えた現代エンターテイメントとして甦る。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[佐島楓]

最後までまじめな路線で論じていただきたかった……。いや、読み方は多様でいいんですけれど。

2018/12/09

[ステビア]

エピローグの二次創作は普通に面白そうなんだよなぁ

2022/04/13

[白義]

博覧強記が唸っているだけでなく、視点もトリッキーで解説本の中でも最上位の面白さ。それもモチベーションが「こんなにかわいいヒロインのかつ子を削った漫画版許せねえ！」の怒りから出る超強火解釈で独創的な講義をするというパワープレイである。漫画版では排除されたかつ子を、おじさんと対立する英雄的な生命の哲学信奉者、道徳の次元に対する政治と軍事の次元の体現者とみなした上で、その表のメッセージと裏のメッセージの二面性と描写の卓越さが本書の読みどころでありエンタメだと強弁している。まさに「こう読めば100倍面白い」の体現

2019/01/21

[ｋｊ54]

「君たちはどういきるか」の岩波文庫版を四半世紀以上前に読んだのは浅羽先生の影響でした。 うろおぼえですが、呉智栄大先生に抗して、ナポレオンに対するロンドン市民の対応の描写を称揚された記憶があります。 感心したところもありましたが、説教臭さと、階級格差（今なら文化資本格差というべきか）にうんざりした覚えがあります。 しかし、今回の新たな読みは非常に魅力的に思いました。再読してみたいと思ってしまったのは、相変わらず先生の手のひらの上にいる私です。

2018/12/16

[Hiro]

夢中で読んだ。本書の素材となった「君たちは…」の物語を戦後民主主義日本のアナロジーとして見る慧眼に深く感動した。著者の前著、反戦・脱原発リベラルの批判書も面白く読んで、ひと頃著者の別のを探したりしていたが、あまり興味を惹かれるものがなくまた本屋で目立って目にする事もなく、これがやっと2冊目。これだけの洞察を有する人がなぜあまり騒がれないのだろうか。もっと取り上げられてもいいと思うのだが。ただ、「君たちは…」の後日談を夢想するエピローグの部分は、アニメやサブカルに門外漢の私にはちょっとついていけなかった。

2021/10/27