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内容説明
教科書や通史は退屈だという人へ。東京大学史料編纂所教授が教える、新しい歴史の愉しみ方。たった漢字一字から歴史の森に分け入る、新感覚・日本史講義。日本史はまだまだ奥深い。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鱒子
67
図書館本。面白い!「暗記しなさい」それじゃあ日本史は嫌われても仕方がない。考える事をいろいろな方面に展開するからこそ、歴史は学問になる。大事なのは「知っている」ではなく「考える」こと。本書はお題の漢字1文字から、著者が連想する歴史考察を披露するというものです。新書にピッタリの内容。楽しい本でした。2019/02/03
もりやまたけよし
52
日本史をネタにしていろいろと楽しい見解が、並んでます。トンデモ本と違うのは、資料に基づいている点ですね。 本郷先生の言われる「競争の少ないのほほんとした社会」の方が、幸せかもしれませんね。2019/02/10
アキ
46
さすが東大教授。「考える」とはどういうことか教えてくれる。大学入試もこんな「考える」力を試すべき。「信」国家の信用を貨幣を指標として考えると13世紀前半頃。日本人という意識は秀吉以降。「血」血が地位より重いのは鎌倉北条氏から。現代の政治家が世襲制なのも争いがない安定を社会が求めるため。「恨」崇徳天皇は恨みを鎮めるための命名。後鳥羽天皇は幕府が恨みを信じてなかったため。「法」文系の最高府は法学部で、古代から律令国家だったという理由。しかし日本は法より権力が強かった。どれも現代に通じる目からウロコの話しばかり2019/02/11
trazom
40
歴史で大切なのは「知っている」ことではなく、「考える」ことだとして、信、血、恨、法、貧、戦、拠、知、三、異をテーマに「考える」作業がなされる。必ずしも全てに納得するわけではないが、鋭い指摘も数多い。実り豊かな東国を5度の征伐とコメ経済によって蹂躙した歴史、科挙を採用せず世襲を温存した中世、事相を重んじ経典の日本語訳さえ怠った日本仏教の怠慢などはその通りだ。ただ、考は、あくまで知をベースにしてなされることを忘れてはいけない。さもなくば「歴史は知ではなく信。言わば宗教」という皇国史観の平泉澄となってしまう。2019/12/09
skunk_c
39
豊富な知識をお持ちの著者が、それをベースに10の漢字一文字の視点から考えていくと、日本史をどのように捉えることができるかを論じたもの。元々簡明な文章の著者の作品で、やや重複する部分もありサクッと読めた。冒頭に知識の偏重は大学入試に原因ありとする考えは全く同感。ただ、考えるためにはベースとなる知識は絶対必要なわけで、このあたりのバランスが難しいなと思った。例によって権門体制論批判が随所に見られるのだが、蝦夷=北海道の位置付けが非常に曖昧なのが気になる部分。あと琉球=沖縄もほぼ捨象。このあたりが著者の弱点か。2019/05/18