内容説明
時は幕末。倒幕だ佐幕だ攘夷だ開国だ、と意識の高い周囲の連中のなかで逼塞していた浪人・松浦佐太郎は、とある縁で助けた男に「勤皇の志士」という言葉を吹き込まれ、覚醒する。だが、高杉晋作、坂本龍馬ら名だたる英雄から思いを託され維新を最後まで見届けようとした佐太郎は、革命の渦中で大きな矛盾に気づいてゆく…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
43
時代は尊攘派と佐幕派に分かれる幕末。それまで政事に無関心だった裏店に住む18歳の浪人松浦佐太郎は、隣に元水戸藩士船越平太夫が引っ越してきたことがきっかけで勤王の志士へと変わっていく。前半は退屈でしたが、岡田以蔵、高杉晋作、木戸孝允、坂本龍馬らとの出会いによって徐々に佐太郎が変貌していく姿から維新という革命の実態がリアルに浮かび上がってくる後半は面白かった。2023/10/08
如水
34
今年は明治維新150年だそうで。そもそも『維新て何?何故革命と呼ばないの?』とか『攘夷戦争て結局何だったの?』と言う疑問を解決出来そうな一冊です。時は幕末、浪人松浦佐太郎が邪な気持ち(笑)で勤王志士となるが出逢う人物達によって動乱真っ只中に放り込まれて転換期を体験していく、と言う話ですが、特筆すべき点は著者には珍しく主人公は架空の人物なので直接歴史に介入しない、が目の前で起こる歴史的事件を間近で見れた=客観的に幕末動乱記を観れる、と言う所かと。読み終わった時に僕はこう思いました。『革命では無かった』と?2018/10/31
sin
8
実在する人物かと思ったら、架空の人物でした(笑) 実在する人物に上手く絡めて書かれているので違和感が無かった。 幕末はまだ知らないことばかりな。2019/01/09
ちゃーりー
4
著者の作品ということで手にした一冊、架空人物の幕末物語、確かに維新にはこのような一面もあるよなと思う。2019/12/16
まめの助
4
★★★★☆長屋住み浪人から志士になった男の話。何か成さねば。と気持ちばかり焦る若者が、明確な意志もないまま軽い気持ちから志士に。実際の幕末の事件にひょっこり巻き込まれるので、今まで読んだ中で一番実感が湧いた。主導権争いや戦の際の非道は、本懐を遂げる上では些末な事として描かれがちな所が、普通の青年が主人公なので血が通っていて主張の矛盾が浮き彫りになる。歴史に名を残す人たちの美学も憧れるけど、やっぱり生きていなきゃ悲しいだけだ。2018/11/25