内容説明
散在する古いテクストを集め、照合し、可能なかぎり「原典」と呼ぶにふさわしい校訂版を作ること。それが古典学の使命である。また、言語学的側面をはじめ、原典を享受するための厳密な知識の追究も行う。西洋の場合、その主対象は古代ギリシア・ローマの諸作品である。古典学の営みとはいったいどのようなものなのか──。本書では、西洋古典学の要諦を紹介しつつ、ホメーロスの叙事詩からギリシア悲劇・喜劇まで、西洋文学の源流となった作品群の構造と意味を解説する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
刳森伸一
4
ホメロス、ヘシオドス、抒情詩、ギリシア悲劇、ギリシア喜劇を通して西洋古典学の基礎を概説する。概説といっても作品の一部を詳細に検討したりと内容は濃く、色々と為になった。2018/11/19
ホリエッティ
3
イリアスの章まで p.65「聴衆が家族同然にその名をよく知る登場人物を手駒として、叙事詩人がなお独自の工夫を凝らす余地が残されていたとすれば、既定の結果—それは叙事詩の中では「運命」という厳粛な名で呼ばれている—に至る経路すなわち話の筋立てを複雑かつ多元化し、しかも平明にわからせることが、その要諦であったに違いない。」 面倒なので参考になったページをメモ。p.71, 73 812024/06/02
Hiro
2
ギリシア古典文学の、ホメロス、ヘシオドス、サッポー等の抒情詩人群、そして三大悲劇作家とアリストパネスを紹介した解説書。後半の悲劇の部分を最も興味深く読んだが、冒頭で西洋古典とは簡明にホメロス時代から西ローマ滅亡時までに著され伝承されてきたギリシアラテンの文書全体だと定義付けているのも印象的。アイスキュロスのペルシアの人々の読みで、ペルシャ戦争の意味と影響を知り、3人の悲劇詩人それぞれが扱ったオレステスの仇討ちの挿話でその意味づけの変遷を面白く思った。格好の入門書だが、さらに原典に当たらないと。2025/04/10
kumoi
1
紀元前8世紀に書かれたホメロスの叙事詩が今も読めるということ。名もない人々が細々と書き継いできたのだろう。書き手の意思は次の時代の書き手に受け継がれ、テクストはより深くより広く私たちの心を捉える。人類よ。あなたたちは尊い。2023/09/21
ushjszidxkskils
0
誰が入門する為のものなんだろう?というぐらいなかなか難解に感じたが「学」の入門というだけあってそんなものなのかもしれない。でも西洋の物語の源流の様なものに触れられて良かったです。2023/11/23
-
- 電子書籍
- 男嫌いな美人姉妹を名前も告げずに助けた…
-
- 電子書籍
- 幻の新鋭機 震電、富嶽、紫雲・・・・・…