平凡社ライブラリー<br> 怠ける権利

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平凡社ライブラリー
怠ける権利

  • ISBN:9784582766479

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内容説明

「労働」の神格化をあざけり倒し、「1日最長3時間労働」を提唱。120年以上も前にマルクスの娘婿が発した批判の矢が、〈今〉を深々と射抜く。「売られた食欲」等収録。プレカリアートも必読!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆう。

37
過労死が国際語となるくらいに長時間過密労働の日本社会にとって、豊かで人間性を確保するために労働時間の短縮の必要性はすぐれて現代的課題だと思います。人間にとって余暇とは何なのかということを考えながら読みました。多くの富を労働者が作り出しながら富の再分配が不十分な現実があります。また労働の意味を深く考えるからこそ「怠ける」意味も捉えられるのだと思いました。2019/05/13

松本直哉

28
職業に就いていないと一人前とみなされず、無職は肩身がせまいような世の中は本当に息苦しい。むしろ閑暇を誇るべきではなかろうか。再読して印象に残ったのは、労働時間の最小化によってのみ人は精神の自由と高貴を維持できるという主張で、それは学校の語源が閑暇であることからもわかる。この点で著者は舅のK.マルクスよりむしろ「生活?そんなものは召使いにまかせておけ」と述べたヴィリエ・ド・リラダンに近いところにいるのかもしれない。9歳までキューバで育ったという経歴が著者の南方的怠惰の思想形成に影響を与えただろう。2017/07/26

白義

27
働くことは人間が人間として成長する上で不可欠な営みであるような建前がまだまだあるが、もちろんそんなのはただの建前で、実際は多くの人間が社会人となり労働の網の目に絡め取られることで、倫理的にも知能的にも文化的にもどんどん劣化していきつまらない人間に成り果ててしまうことを多くの人が知っている。ひょっとしたら、仕事を神聖化する思想自体が何か病んだものなのかもしれない。この本は普通なら躊躇うそんな主張を堂々ぶちあげたアジビラであり、労働自体を根本から批判する過激さで類を見ない一冊である2014/08/18

NICK

16
まともに読むと相当悪趣味な資本主義批判、いや批判ですらなく資本主義叩き文書の集まりなのだが、これはまあプロレタリアートへのアジ文書なので仕方がない。しかし露骨に誇張されているゆえに(少なくとも当時の)労働環境、また資本主義社会の歪さ、理不尽が克明に描かれているとも言える。働けば働くほど無生産者であるブルジョアの無生産な欲望を満たすだけであるなら、その体制の変革として労働時間を減らし労働者の余暇をたっぷり取るべきだ、というのはなるほど、現在から見ても魅力的な提案ではないだろうか。労働の脱神格化。2015/12/25

田氏

13
何も知らずに読んでみたら、想像していたよりも遥かにガチだったのはさておき。平たく言えば、マルクスを義父にもつ社会主義者による徹底的な資本主義・労働礼賛への批判。19世紀と今の情勢の違いもあるし、社会主義の失敗を経験した今となってはいくぶん割り引いて読む必要はあるだろう。収録されている三編のうち「資本教」は、資本を神として崇め、低賃金労働の苦を受け入れ、身も心も〈神〉に擲てという教義を創作して皮肉るもの。しかしながら苦境から生まれた実在の宗教にも同様の色合いを持つものがあるあたり、考えさせられるものがある。2018/09/21

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