内容説明
大スクープを掴んだけど、殺人事件の謎を解かないと水の泡!? 新聞作り命の女子高生コンビと銀髪碧眼の男子高生探偵が謎に挑む
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
63
鮮やかなひねり。ここまでやるなら感服。ミステリ作家の頭ってどうなっているの? 現代のミステリは、もはや事件の解決だけでは物足りないということ。登場する人間の生活や心まで書きつくす。新本格の創生期のように「人間が書けていない」などとは、もう言えない。あれれと思う間に新しい人物? が現れ、新聞部の仲良し二人が、いつのまにか背景の位置に追いやられてしまうのが残念だが、彼女たちもこれから部活の発展に青春をもやしていくのだろう。そんな未来が目に浮かぶ。後半は一気読み。ページをめくるスピードがどんどんアップする作品。2021/11/30
九月猫
51
“ひとの行動はすべて動機によって成り立っている。動機のない行動はありえない。〈動機のない行動をする人間〉は現実世界には存在しない。”という探偵と、お話。キャラミスというほどキャラは立ってないけど、本格モノというにはちと物足りない。あと登場人物の思考が判然としないことが多くて気になった。“W”は“それ”を残すくらいなら通報した方がよかったのじゃ…?とか、“X”の手段がなぜそれなのかとか。探偵役の御簾くんがまだまだ謎の人なので、シリーズになるのかな。 2019/01/31
よっち
46
新聞クラブを立ち上げた高1の植里礼菜と幡東美鳥。創刊1面トップに「2階建て駐輪場が着工する」を据えたものの計画が頓挫し、記事の差し替えを迫られる状況で、遭遇した殺人事件を銀髪の男子高生・御簾真冬とともに解決するミステリ。ミス・マープルを意識した舞台設定になっているようで、まず動機ありきの推理はもう少し人の動かし方に妥当性が欲しかった箇所がありましたけど、校内で起きた数学講師殺人事件に挑むミステリアスな探偵役・御簾真冬にはなかなか存在感があって、新聞クラブと御簾の探偵ミステリをまた読んでみたいと思いました。2018/11/28
ami*15
45
久々の階さん作品だったので読みました。今作はクリスティー作品を元ネタにした青春ミステリー。礼菜と美鳥が掴んだスクープと校内で発生した教師殺人事件をメインに物語は展開し、推理の充実さや単純でサクッと読みやすい構成がこの作者らしい作品でした。この2つの謎に加えて礼菜がなぜ「嘘」というものに執着しているのかという謎も全体を通して描かれましたが、その理由がなんだか曖昧な感じで個人的には理解しにくかったです。終わり方的にシリーズ前提の作品なのかなと思いましたが、続編が出たら読むかはその時の気分次第になりそうです。2019/01/16
buchipanda3
45
学園を舞台にした本格ミステリ長編。タイトルからこちらはクリスティなのかと思ったら各章の題名で合点。英題にも工夫が。純粋な安楽椅子ものではないが、探偵役・御簾の状況を聞いただけでえらい鋭い推理力を見せる所に驚かされた。まるでかの老婦人のよう。密室など特異な状況がもたらされた必要性、動機を起点に人の心の動きと背景から演繹的に容疑者を絞り込んでいく所も。トリックからは長さの理由によってそういう構図を見出すのかと感嘆。携帯が鳴動とかやや堅めな文体も味がある。独特な雰囲気を醸し出す銀髪な探偵の今後にも期待したい。2018/11/09