モンゴル力士はなぜ嫌われるのか ─日本人のためのモンゴル学

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モンゴル力士はなぜ嫌われるのか ─日本人のためのモンゴル学

  • 著者名:宮脇淳子
  • 価格 ¥1,012(本体¥920)
  • ワック(2018/11発売)
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  • ISBN:9784898317709

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内容説明

遊牧文化のモンゴルに先輩・後輩の序列はなく、“力”がすべての社会!
トップは法をつくる人であって、守る人ではない!
白鵬が我がもの顔で振る舞う理由

まえがき

第1章 モンゴル力士は、なぜ強いのか?
遊牧騎馬民の、男子たるものの必要条件
モンゴル相撲に求められるのは、平衡感覚と敏捷性
モンゴル力士は君主のボディガードだった
『日本書紀』に見られる相撲の起源
宮中の「三度節」とナーダムの三種の競技は起源が同じ
厳密にいえば、相撲は国技ではない
日本のマスコミは、異文化に対する想像力に欠ける
「いじめ」が成立するのは日本文化の特徴
日本の「隣百姓」とはまったく正反対の生き方
「まわりに合わせる」という考え方のないモンゴル文化
モンゴルには「長幼の序」はない
世代を厳しく区別する「輩行」という考え方
モンゴルでは末子が親の面倒を見る

第2章 モンゴル女性秘話
朝青龍と白鵬の母親は、モンゴル国立大学卒のインテリ
モンゴル人にとってのいい男、いい女
遊牧生活を維持するため、男と女の役割分担は明確だった
夫婦喧嘩をすると、「出て行け」ではなく「オレは出て行く」
モンゴル草原東端の遊牧民「烏丸と鮮卑」
「男は女の家の労役に服し、その後、女の家から財産の分与を受ける」
二千年前でも二十世紀の内モンゴルでも、女に財産権があった
チンギス・ハーンの賢母、ホエルン
ホエルンは自分の部下と軍隊を持っていた
征服戦争に従軍したチンギス・ハーンの娘
中華思想は、遊牧民に敗北したことから始まった「負け惜しみの思想」
孫娘を第三夫人にしたアルタン・ハーン
夫、義理の息子、その息子、その孫と四度結婚して権勢をふるった女
女をほめないイスラム教徒の知識人が絶賛したソルコクタニ妃
フビライ・ハーンの正皇后チャブイ・ハトン
チャブイこそが、元朝皇帝と帝国の政治機構の接点だった
中央アジアとインド洋を旅して二十五歳で死去したコカチン姫
遊牧民の族外婚は、安全保障のため
チンギス・ハーンの五百人の妃妾は本当か?
チンギス・ハーンのすべての財産を管理していた四人の后妃

第3章 モンゴル帝国を知っていますか?
明朝は、モンゴル帝国の宗主国・元朝の唯一の継承者か
「韃靼」とは、漢人のモンゴル人への“侮辱語”だ
征服された側の人たちが書いた歴史
遊牧騎馬民が世界史を変えた時代の終焉
なぜ、遊牧帝国と呼ぶのか?
モンゴル帝国時代のモンゴル人とは
姿や名前は変わったが、世界各地でふたたび支配者となって生き残った
元朝の「行中書省」が、現在の中国の省の起源
明朝も清朝も元朝の継承国家だった
四百年かけてモンゴル帝国の西半分と北方すべてを獲得したロシア
満洲国・興安省の境界が、そのまま中国内蒙古自治区の境界となった
清朝に課せられた莫大な賠償金が、モンゴル人に劇的な変化を与えた
戦前、日本人はなぜ「満蒙」といったのか
内モンゴルも外モンゴルも、同じことばを話す同じモンゴル人だった
中国に留まったのが「内モンゴル」、離れたのが「外モンゴル」
「玉子はぜったい食べないでね、中国人が作っているから」
北の遊牧民は南の農耕民をばかにしていた
モンゴル人が中国人を嫌いな最大の理由
モンゴルとチベットは同盟関係にあった
「ダライ・ラマ」の誕生
チベット仏教徒になった遊牧民が、モンゴル民族と呼ばれている
カザフ人もモンゴル人と同じモンゴル帝国の子孫たち
モンゴルとカザフスタンはもはや違う文化の国

第4章 日本にとってモンゴルは大切な国
蒙古襲来と日本の幸運
「義経は死なずに北方に逃げた」
末松謙澄こそが“義経伝説”の生みの親
チンギス・ハーンが源義経であったことを証明しようとした男
日本人はなぜ“義経伝説”が好きなのか
伊藤博文に見込まれた末松謙澄
「チンギス・ハーンは源義経だった」の英語論文は愛国心から
「モンゴロイド」ということば
「蒙古斑」は日本の赤ん坊で初めて発見された
「民族」とは、十九世紀末から二十世紀初めに誕生した政治的な呼び方
「人種」の区分も「言語」の区分も、政治的動機から生まれた
民族も人種も言語もみなフィクションか
これだけ違う日本人の美意識とモンゴル人の美意識
モンゴルを知れば、生きるのが楽になる
二大国の狭間で、今日まで独立を保ってきたモンゴル外交の巧みさ
中露との等距離・中立外交、アメリカとの積極的な協調外交
上海協力機構には加盟せず、オブザーバーを選択する
国連を舞台に、一銭も使わず大きな貸しを日本につくったモンゴル外交
日本の「文化」から、世界の「文明」になった相撲
横綱の品格を問うマスコミに品格はあるのか
モンゴル国は、日本にとって大切な国になる

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

バトルランナ-

23
協調こそが日本人が生きていく上での美徳。 川に近い田んぼから田植えをしなければ、川から遠い田んぼの田植えはできない。うちは来週やるでは済まされないのだ。 モンゴルの平均海抜高度は千六百メートル。 年平均降水量は日本であれば台風がきたときの一晩分の雨量。 同じところに家畜を放牧させているとすぐに草を食べ尽くしてしまう。他人とは常に違うことをしなければ生きていけない。 日本の隣百姓とは全く正反対の生き方。 男は肉体労働をしても生きていけるが、女はそういうわけにはいかない。 2019/02/25

TheWho

15
近年朝青龍や日馬富士、白鳳等のモンゴル出身の力士へのバッシングに対して、東洋史が専門の歴史学者である著者が、モンゴル人気質と日本人気質や文化の違いから始まり、遊牧騎馬民族であるモンゴルの歴史と成り立ちを言及する一冊。協調性の農耕民族と独自性の遊牧民族の違いは良く云われるが、モンゴル女性の高学歴志向やチベット文化の類似性、匈奴から蒙古に始まるモンゴルの歴史やロシアと支那への巧みな近代外交等など知っている様で知らないモンゴルを再認識出来る興味深い一冊です。2020/04/21

yam6

3
いやー、タイトルに騙された。ただのモンゴル礼賛本だった。大モンゴル帝国の偉大な歴史を知るには良書である。宮脇淳子はモンゴル研究の第一人者であり、その知見には脱帽するしかないが、大相撲に関してはど素人であり「なぜ嫌われるのか」の答えは、的外れである。われわれ大相撲ファンはモンゴル人力士が嫌いなのではなく、彼らの親方がだらしないと感じており相撲協会のやり方に不満なのだ。日本のマスコミ(←日本的ではない)の下品さについてだけは、宮脇と同意見である。2018/01/22

phmchb

2
図書館本。φ(..)『この厄介な国、中国』『やはり奇妙な中国の常識』岡田英弘、ワック(p68)/『世界征服者の歴史』ジュワイニー(p113)2021/09/28

ピオリーヌ

2
宮脇氏はジュンガル(17世紀頃のモンゴル高原付近の遊牧民族)の著書で知られるように、遊牧民族氏の専門家。それだけにモンゴルに関しての記述は非常に読ませるものだか、相撲に関しての知識は申し訳ないが素人以下。中途半端な内容になっているのは否めない。2018/05/12

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