内容説明
父親を知らずに美しく成長してゆく奈々緒。色街で料亭を営む母・菊江とも別の家に暮らしていた。経済的には恵まれていたが、菊江が経済界の大物の元愛人だったことがわかる。そんな境遇に反発を覚えながらも、奈々緒は上流社会の生活を謳歌し始める。ところが菊江は、奈々緒が女学校卒業を間近に控えるころ、自分の眼鏡に適った男を聟として押し付けてくる。奈々緒は望まぬ結婚を受け入れるが、その先には想像を絶する悪夢が……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
布遊
26
寂聴さんは、初めて?2冊目かな?予約本がなかなか回ってこなかったので、図書分館の少ない本の中から選んで読んだ本。寂聴さんは敷居が高かったが、興味本位の内容はすらすら読めた。ノスタルジックな内容。2023/01/13
猫科とらねこ
11
菜々子の母親の菊江がこれまた凄い女性だった! そして愛のない結婚でも子供は産まれるのよね…子供がかわいそうだったわ。女であるというのは死ぬほどの苦難かもしれないな、だから楽になるためにおばちゃんやお母さんになるのかもしれない、菊江はなれなかった…。2019/07/09
チサエ
7
「あたしは、家を出て以来、色んなものが新しく新鮮に見えて、楽しくてならない時と、何もかも灰色にみえて、もう気を張って生きていくのがつくづく面倒で、その場に坐りこんで、雪がとけるように消えてしまいたいような意地も張りもなくなる時があるのよ」2021/11/20
yuko
4
ご逝去を機に、初めて寂聴作品を手に取った。 沢山の作品から、初心者でも大丈夫そうな内容を選んだが、読みやすい文体でどんどん進めた。 裕福だが愛情の薄い生い立ちの主人公が愛のない結婚生活の末に本当の幸せを手に入れると言う、ありふれたテーマたが、これは官能小説?と思うほど、性に対する描写が刺激的で、直接的な言葉ではないにも関わらず、昼間の電車で読むのが気恥ずかしかった。 女性として紆余曲折の末に出家した方だからこそ、これほど女性がドキドキする表現になるのか?文章力と言うものを感じさせられた。2021/11/25
obanasi
2
初めて瀬戸内寂聴さんのお話を読みました。最初は読みきれないんじゃないかと思うほど進みが遅かったけど、途中からスイッチが入ったように面白くなって、すぐ読み終わった。なるほど流石、瀬戸内寂聴だなと思う女性の波乱万丈な人生でした。私も同じ女だけど、この本の感情と同じものは少しも持つことなく一人で生きていきそうだなぁと思った(笑)2021/02/28