ちくま新書<br> 東京裁判「神話」の解体 ──パル、レーリンク、ウェブ三判事の相克

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東京裁判「神話」の解体 ──パル、レーリンク、ウェブ三判事の相克

  • ISBN:9784480071903

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内容説明

東京裁判は「勝者の裁き」であり、インド代表パル判事とオランダ代表レーリンク判事の反対意見は、その欺瞞を暴き出すものだとの論が日本の国内論議で長くみられた。だが、パルやレーリンク意見には重大な誤謬と恣意性があり、東京裁判の功績と問題点の歴史的・法理学的理解を大きく歪めている。東京裁判研究者の戸谷と国際法の大家コーエンが、従来見過ごされてきたウェブ裁判長による判決書草稿を読み解き、東京裁判の過程を再検証。判決から70周年を迎えた今、知られざる真相を解明する。

目次

序章 東京裁判「神話」とは何か/第一章 東京法廷における責任論──起訴状から多数意見まで/第二章 パル意見は「判決」か「反対意見」か?/第三章 レーリンク判事──極東国際軍事裁判のもうひとりの英雄か?/第四章 ウェブが著した権威ある「東京判決」/終章 「裁判長による個別意見」の遺産

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

32
これは重厚な内容だった。多数意見に反対したパル判事は有名だが、その意見(判決文)の特徴を司法の立場から批判、むしろ被植民地からの政治的文書と読むべきか。またレーリンク判事の反対意見も批判。これに対し裁判長ウェブ卿の、当時公表されなかった判決草稿を司法的見地から高く評価する。ニュルンベルク裁判と同様、裁判の根拠をパリ平和条約に求め、政治的な高位に立つ者の不作為を含めた責任を、徹底的な証拠吟味と無罪推定を含む一貫した法理に基づく判決案で、すべての東京裁判論はこれをベースにすべきだろう。労作で良著。お薦めです。2018/11/13

樋口佳之

24
東京裁判研究では、そのような専門知識を有する学者が東京裁判記録の分析にとりくむことがなく、法学の視点からみた東京裁判論に限界があった。/本書は、戦犯裁判研究にそれぞれ経験をもつ法学者と歴史家とによる共同研究を方法論上の大きな特色とし、双方の強みを併せ生かしたもの/法学の素養が無いとはかなり難しいかも。パルが判事として全く不適当な仕事ぶりだったという理屈はわかりましたが。/ウェブ草稿の評価が高いのも納得だけど、判決は多数派のそれだった訳で、歴史にif云々みたいにも読めてしまったです。2018/11/27

matsu

6
凄く面白かった!東京裁判は「勝者の裁判」だと言われるが本当にそうだろうか?ということを、東京裁判研究者と国際法学者の二人が各裁判官の判決を法律の観点から読み解く。 東京裁判を知る上でも面白かったし、各裁判官の思惑もあり、ミステリー的要素もあった!2019/02/07

Masatoshi Oyu

5
東京裁判は、正式な判決となった「多数意見」が、証拠の審査が不十分だったり、記述が簡素すぎたりしたため、「東京裁判=結論ありきの勝者の裁き」という印象を齎し、「平和を愛好していた日本は欧米によって戦争に駆り立てられた被害者であり、被告人は全員無罪であるべきだ」という神話を生み出した。2020/03/27

oooともろー

5
一部日本人の間では評価の高いハル判事。実は裁判のあり方としてはかなり問題があり、ウェブ判事の緻密な判決書を分析。確かに知らなかった。2019/04/12

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