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内容説明
世界秩序を生み出した歴史的背景を理解できれば、中国、中東の問題点も見えてくる――。
21世紀の国際秩序のありようを、国際関係論の第一人者が歴史的な観点から読み解く。ロングセラー『外交』に匹敵する名著。
本書は、キッシンジャーの『外交(上下)』にならぶ名著『国際秩序』(2016年刊)をビジネス人文庫化するもの。
近代国際法の元となったのは、三十年戦争の講和条約であるヴェストファーレン条約。それ以降、大きな戦争が起きるたびに、「地域における秩序」は確立されてきた。しかし結局のところ、適用範囲が広がれば、「秩序」の考え方を変えてきたのがこれまでの歴史である。
国際秩序がどのように誕生し、変化し、どこに向かうのかを、外交を知り抜いた大戦略家キッシンジャーが語り尽くす極上の世界史。
上巻では、本書のコンセプト明らかにするととも中東問題についての考え方を明らかにする。
目次
序 章 世界秩序という問題
第1章 ヨーロッパ――多元主義的な国際秩序
第2章 ヨーロッパの力の均衡システムと、その終焉
第3章 イスラム主義と中東――無秩序の世界
第4章 アメリカとイラン――秩序への取り組みのちがい
第5章 アジアの多様性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TS10
20
各国の国際秩序像という観点から、歴史を繙く。上巻では、ヨーロッパと中東、日本とインドについて解説する。直訳調の翻訳のせいか、所々理解するのに苦しんだ。著者の専門であるヨーロッパの分析もさることながら、イスラム世界への透徹した認識には本当に驚かされる。とりわけ、サウジアラビアの抱える複雑な立場は印象深かった。パレスチナ問題についても、その少ない領土から明確な安全保障協定を求めるイスラエルと、イスラム教の正統性の観点からイスラエルの領土を明確に保証出来ないアラブ諸国との問題であると明解な分析である。2024/07/03
Hiroshi
8
本当にグローバルな世界秩序は未だかつて存在したことはない。ヨーロッパでは新旧宗派が戦った30年戦争の後に結ばれたヴェストファーレン条約(ウェストファリア条約)が国際秩序の先駆けだと言われる。その後のヨーロッパ、ロシア、イスラム世界、アメリカ、アジア、中国の国際情勢を見ていき、21世紀の国際秩序を考えていく本。上巻はアジアまで。ヨーロッパでは西ローマ帝国滅亡後に政教分離がなされ、国家が秩序を担当し、教会が神による救いを担当した。多数の国家が存在し、中華帝国やカリフ支配のような中央集権的な地域支配はなかった。2024/03/17
うえ
4
原著は14年刊。ロシアの野望、絶対主義、不安定さについて考察あり。「ロシアは、国力が強いときには超大国らしい傲慢な自信をみなぎらせて身を処し、自分の身分に形式ばった敬意を表するよう求める。国力が弱いときには、膨大な底力が出てくるのをむっつりと祈りながら、弱みを押し隠す。どちらの場合も、もっと温和なやり方で物事を片づけるのに慣れている西欧の政府には、たいへんな難題になる。…ロシアの世界征服帝国主義は、脆弱性という矛盾と表裏一体だった‐世界の半分を席巻したことで、かえって潜在的な敵を増やしてしまった感がある」2025/03/01
ゼロ投資大学
2
冷戦化でアメリカの要人として国家間の交渉で重要な役割を果たし、政府の一員から退いた後も大きな影響力を持っていたヘンリー・キッシンジャーの国際秩序論。アメリカの強大な軍事力と人道的で民主的な価値観は、国際社会に大きな存在感を持っていた。調停者として国際秩序の構築に力を発揮したことは事実だが、中国やロシアの台頭もあって、徐々に世界におけるアメリカのプレゼンスの低下が指摘されるようになった。2025/07/10
青いランプ
2
キッシンジャーが知っている世界史を教えてくれる本だった。へーとは思うけれど、面白いというほどではない。2023/01/15