ちくま新書<br> 武士の起源を解きあかす ──混血する古代、創発される中世

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ちくま新書
武士の起源を解きあかす ──混血する古代、創発される中世

  • 著者名:桃崎有一郎【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2018/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480071781

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内容説明

武士はいつ、どこで、生まれたのか? 七世紀ものあいだ日本を統治してきた彼らのはじまりについては、実ははっきりとした答えが出ていない。かつて教科書で教えられた「地方の富裕な農民が成長し、土地を自衛するために一族で武装し、武士となった」という説はでたらめで、都の武官から生まれたという説は確証がなく、学界は「諸説ある」とお茶を濁す。この日本史における長年の疑問を解消するために、古代と中世をまたにかけ、血統・都鄙・思想に着目し、武士の誕生の秘密を明らかにする。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やいっち

74
読メで本書を知った。正直予想外の面白さ。武士らの起源勃興から朝廷を圧倒するに至る経緯。ある意味天皇ら自らの不明のもたらした必然の結果か。活字が一杯で難儀しつつも、1000年に渡る大河物語を読んだ読後感。2023/12/13

六点

54
前著『平安京はいらなかった』に引き続くエラく挑発的なタイトルであったが、そのタイトルに負けぬ本である。不毛なマルクス史学に壟断された時代に比べれば随分闊達に議論がなされるようになった。この本もその成果の一つといえよう。古代以来の「弓馬の武」を集積していた関東の豪族と臣籍降下によって増えた王臣家がお互いの「権威と武力」を必要とし、著者曰く「発酵」し武士になったのである。「発酵」が違う立場から見れば「腐敗」であるように、古代を蝕んでいったと言うのは深読みに過ぎようか。著者の「武士成長史」を是非読みたし。2018/12/08

39
18年。出版時は相応に話題になったと記憶しているが、挑戦的な文章にワクワクする。冒頭(武士が)領主階級、貴種、弓馬術の使い手であることを動かぬ事実として挙げる。「有閑弓騎」なる便利な単語も創って延々と説明が続くが、とりあえずの結論は第10章を読めばよい。武士は主に婚姻関係に媒介された【貴姓の王臣子孫×卑姓の伝統的現地豪族×準貴姓の伝統的武人輩出氏族(か蝦夷)】の融合した複合的存在だとし、「武装した有力農民」「衛府の武人の継承者」など、一つの集団が発展した産物ではないとする。ただし話はまだ続く。2022/02/01

樋口佳之

33
結論はサブタイトルの「混血する古代、創発される中世」にまとまっているのですが、そこまでの行論が私の様な初学者にはとても大変。叙述が難しいわけではないのですが、古代史について豊富な基礎イメージがないとなかなかだと思いました。/武士の起源について蝦夷の持つ意味も大事な視点だと思いました。2018/12/21

テツ

27
侍とか、彼らの美しいとする武士道とか、現代に生きる僕たちはある種の幻想を抱きながらそれについて考えてしまうのだけれど、彼らが如何に成り立ったのかという起源については大多数の方が知らないのだろうなと痛感した(勿論僕自身も含めて) 弓馬の道なあ。確かに古代において武力を身につけるには日々の戦用の訓練鍛錬が必要だったのだろうし、そうした集団をある種カテゴライズして扱うことは政治のために便利だったんだろうな。全く歴史についての知識などないですがとても興味深く楽しく読めました。2018/12/21

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