内容説明
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秋の季語・月をモチーフに、美しい写真と名句で展開する歳時記シリーズ第4巻。夏井先生の心に響いた作品を、有名句や一般の投句から厳選。月は秋の季語の女王といわれ、月そのものをはじめ初月、弓張月、待宵、雨月など美しい響きのものから幻月、月の兎、月夜烏などファンタジックなものなど、俳句心を誘う豊かな関連季語がいっぱい。あなただけのとっておきの秋の一句が詠める、【季語・月】のすべてを解き明かす本!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
肉尊
48
月の名句といえば「名月や池をめぐりて夜もすがら」(松尾芭蕉)。月の表現法を麗しき写真をもとに深堀りできる一冊。三千世界の朝寝で啖呵を切るカラスも、月夜鴉となれば夜遊び客となる。「おでん屋の月夜鴉の客ひとり 」(龍岡晋)かつて『青鞜』では「青白い月」と揶揄されたが、月はその満ち欠けや光を忍ばせてくる動的静寂性をも兼ね備えている。「よよよよと月の光は机下に来ぬ」(川端茅舎)2022年11月、皆既月食を職場で眺めたが、赤銅色に染め上げられた満足に戦慄した覚えがある。科学の裏付がなければ畏怖の対象としか見えない。2022/11/30
ちえ
46
最近図書館で詩の棚に行くことが多い。並んでいた短歌のコーナーから借りてきた。美しい写真に有名な句と募集からの特選句。夏井氏の観賞の言葉と合わせて読むと一句一句光景や込められた思いが広がる。月の季語にこんなに沢山月を表現する言葉があるのかと日本語の豊かさに驚く。国立天文台室長とローゼン千津氏での月の科学も面白く、これはビジュアル歳時記シリーズという事なので他の本も借りてきたい。学生時代以降、短歌や俳句から全く遠ざかっていた私に、短歌の面白さ、夏井いつき氏の名前を教えてくれた読友さんの句も掲載(^^)2020/11/19
とよぽん
45
去年の暮、句会ライブに初めて参加した時のことが思い出された。エネルギッシュでユーモアあふれる夏井先生のお話が懐かしい。「月」の歳時記も写真が魅力的で、掲載されている俳句を引き立てていた。月の満ち欠けと旧暦の解説が丁寧で面白かった。昔の人々は、月を暦として月と共に生活していたのだと、改めて関わりの深さを感じた。私も、月の俳句に挑戦しよう。2020/06/28
クラムボン
17
冬の雪、春の花、夏の時鳥ときて秋の季語が「月」。月はどの季節でも異なった趣があるが、秋の月は「名月」と呼ばれ別格だ。今年は9月29日が「中秋の名月」だが、私の住む処では曇って見えなかった。月の満ち欠けを基準とする陰暦が明治時代に廃止されて、月との関りが薄くなったのは残念だ。当然の如く古来より月の名句は多い。「ある僧の月も待たずに帰りけり/子規」「聲かれて猿の齒白し峰の月/其角」「名月や池をめぐりて夜もすがら/芭蕉」 一方夏井さんの句が「二つ目の月産み落としさうな月」。まずまず互角に渡り合っているようだ。2023/09/30
G-dark
15
一年中見ることが出来るのに、毎日満ち欠けしてその姿を変化させ、人の心を惹きつける「月」。この本は、五感を使って月を愛でるための本です。季語・写真・句・月のメカニズムの解説を通して月について学ぶことが出来て、ゆったりと贅沢な気分に浸れます。月の季語は、見るだけでもうっとりするものばかり。一体誰がこんなに綺麗な日本語を思いついたんだろう?と日本人の美意識に驚かされるばかりです。こうした季語を声に出して読み上げてみると、音として耳で聞いても美しいし、心にもじんわりと滋養としてしみ込んでいくような感じがします。2019/10/27




