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内容説明
16世紀初頭、アンデス全域を支配するに至ったインカ帝国は、カトリック王国スペインの領袖ピサロにより征服され、その繁栄はわずか1世紀余りで幕を閉じた。帝国の衝突がもたらした植民地社会に生きるスペイン人、インカの末裔、さまざまな混血集団、イベリア半島を追放されたユダヤ人たち。共生と混交、服従と抵抗の果てにスペインとの訣別へと向かうアンデスの300年を描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
62
大航海時代以降の歴史を読むと毎度の事ながら白人の強欲さには辟易する。キリスト教の教えを疑わず、その布教を大義名分にするから更に罪が深い。尤も人間皆強欲で、強い者が欲を押し通すだけかも。15C頃、急速に拡大、アンデス全域を支配したインカとレコンキスタによりイスラムを駆逐、その勢いを海を越え新大陸制覇に向けたスペイン、両帝国の出会い。馬、文字、旧大陸由来の病に免疫を持たないインカは少数の征服者に服従させられる。後の植民地時代についても、スペイン王権にすがるインカ貴族、18Cのインカ大反乱など興味深い記述多し。2019/07/12
翔亀
43
【始原へ56】「興亡の世界史シリーズ」はそれぞれテーマが設定されているが、所詮通史だろうとタカを括っていたが、本書には驚いた。インカ帝国からスペイン植民地時代のペルー史にスペイン帝国史を絡ませる。支配-被支配、暴虐のスペインと受忍のインディオという単純な話ではない。そういう単純な図式では収まり切れないスペイン人とインディオの交錯を、両者の栄光と悲惨が複雑に交錯して歴史をつくってきたことをこの歴史家は語ろうとする。歴史(古文書)に、植民地で抑圧されただけでなく歴史を創造するインディオの息吹を語ろうとする↓2021/09/26
かんやん
28
人に普遍的に見られる純血主義(排除)と混淆への志向(寛容)の秤は、歴史を通じて揺れ動いている。スペイン帝国はユダヤ人を弾圧し(ポグロム)、レコンキスタを成し遂げ、南米へ進出する。当時インカ帝国は、後継者争いと内部の敵対勢力により不安定だった。やがてアジアへ伸びてゆく大航海時代のグローバリズムは悪夢そのもので、伝染病、改宗、強制移住、強制労働さらには税や商品強制分配などでインディオを苦しめ、遂にインカ王の後継者を立てて彼らが次々と武装蜂起する時、その宗教的ヴィジョンと相まって、興奮を禁じ得なかった。2022/11/06
sankichineko
13
スペインによるインカ帝国の支配、そこから解説する本かと思って読み始めました。実際はインカ帝国によるアンデス全域の支配から始まり、ぐっと引き込まれます。さらにスペインについてはイスラム教徒による支配、ポグロム(ユダヤ人迫害)、レコンキスタから語られます。確かにこの流れによって2つの帝国がなぜ、そしてどのように交錯したのかが見えてきます。あとがきによるとこの構成は編集者からの提案だったそう。講談社の編集者さん、グッジョブです。2019/06/16
ポルターガイスト
7
オーソドックスではなくかなりひねくれたインカ・スペイン帝国関係史。これはこれで面白い。追放または征服後のユダヤ教徒とインディオの自律的な動きを媒介にすることで,単純な「征服者がユダヤ・インディオ社会のあり方を破壊した」構図を打ち破っている。民族意識ではなく宗教的な純粋性を求める動きが二つの大陸のあいだで鏡合わせのようになって増幅したように俺は理解した。本書では書かれていないが,それがのちにスペインの命取りになって併合したポルトガル商人の優位性を損ない,「自由の国」オランダに敗れたということだろうか。2026/03/08
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