内容説明
一つの絵から生まれる二つの物語。
あなたにもインスピレーションがおりてくる!
ショートショートから作家としてのキャリアをスタートした太田忠司と、新世代ショートショート作家として人気を集める田丸雅智の二人が、古今東西の名画をテーマに競作。
二人のインスピレーションのもとになったのは、この10枚の名画たち。
ゴッホ「夜のカフェテラス」
クプカ「静寂の道」
ムンク「吸血鬼」
俵屋宗達「風神雷神図屏風」
モネ「雪の中の蒸気機関車」
シャガール「サーカス」
月岡芳年「猫鼠合戦」
エッシャー「写像球体を持つ手」
マグリット「光の帝国II」
平山郁夫「月明の砂漠」
さらに、クリムト「北オーストリアの農家」を題材に、ネットで募った優秀作も収録。
怖いもの、面白いもの、うまい!と膝を叩いてしまうもの。
原稿用紙10枚前後の作品を読めば、今までとは違った視点で絵画を見ることもできるはず。
不思議と驚きに満ちた美術館を、どうぞお楽しみください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かみぶくろ
89
有名絵画を題材にした田丸雅智さん・太田忠司さんによる競作ショートショート集。最近ショートショートの魅力にハマっているので両者の個性の違いがとても楽しめた。田丸さんは現代的。アイデアのユニークさや現代的なモチーフ、オチのキレが秀逸。太田さんはどこか古風。年配読者にウケそうな渋い筆致と正統派な展開。どちらが正解というわけでもないけど、個人的にショートショートの醍醐味は、その驚きとキレと読後の余韻にあると思っているので、自分は田丸さんに軍配を上げたい。2019/01/06
mocha
84
名画にインスピレーションを受けての競作。同じ絵を見てもまったく違う物語が紡がれ、一枚で二度おいしい。太田さんはコメディ、ホラー、ヒューマンなどなど老練なワザを見せてくれる。「風神雷神図屏風」には笑った。田丸さんの方は「この絵からそこ行く!?」というぶっ飛んだ発想に驚かされる。巻末の超ショートも良かった。2019/11/01
☆よいこ
73
太田忠司と田丸雅智が同じ絵画を見て書く▽ゴッホ「夜のカフェテラス」語らい/灯りのカフェ▽フランティシェク・クプカ「静寂の道」収穫される者/スフィ女▽ムンク「吸血鬼」緋色の髪のマダム/吸わせ屋▽俵屋宗達「風神雷神図屏風」世紀の一戦/風神雷神コンテスト▽モネ「雪の中の蒸気機関車」目撃者の証言/願いの蝶▽シャガール「サーカス」くるよ/鉄の曲芸師▽月岡芳年「猫鼠合戦」戦の始末/猫の悩み▽エッシャー「写像球体を持つ手」移転狂詩曲/球面の男▽ルネ「光の帝国Ⅱ」夜の町/闇の住人▽平山郁夫「月明の砂漠」『砂狼』/導く者2022/11/12
いたろう
59
ショートショートの名手2人による、名画をお題にしたショートショートの競作。よく知っている絵から、こんな物語を発想するのかと思ったり、同じ絵を題材にしていながら、それぞれテイストが異なる話になっているのが面白いと思ったり、お題の絵画も、西洋絵画あり、日本画あり、バラエティに富んで飽きさせない。そんな中で、個人的に大好きな絵画、夜の風景と昼の青空が同居する、ルネ・マグリット「光の帝国Ⅱ」から考えられた物語が、2人とも、幻想文学のようになっていて、なかなかいい感じ。ただ、絵は、できればカラーで載せて欲しかった。2019/04/30
ネコタ
38
太田忠司さんと田丸雅智さんによるショートショートの競作。お二人ともショートショートは得意としているので面白かった!田丸さんの作品は初読み。さらに題材が名作絵画ということで、その辺りもよかった。ゴッホ、ムンク、俵屋宗達、平山郁夫など10作品がテーマ。太田さんは大好きなプロレスもモチーフにしていたりしていた。田丸さんの最後の一文が秀逸、特にスフィンクスと忠臣蔵が良かった。2018/12/19