岩波新書<br> 日本の税金第3版

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岩波新書
日本の税金第3版

  • 著者名:三木義一
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 岩波書店(2018/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004317371

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内容説明

日本の税制は複雑でわかりにくい.政治家と官僚まかせで作られた制度を,市民の目線で見直し解きほぐす.所得税,法人税,相続税,消費税,地方税,間接税,国際課税.その基本的な考え方,導入の背景,問題点などをコンパクトに解説する.定評ある入門書の最新アップデート版.税金の仕組みをすぐ知るのに最適な一冊.

目次

目  次

 序 章 私たちは誰のために税を負担するのだろう?
   政権交代・再交代/地震・原発大災害/二一世紀の資本/まず税制を知ろう
 第1章 所得税──給与所得が中心だが
  1 「所得」税と給与所得
    「収入」と「所得」/給与所得控除/サラリーマンの必要経費/サラリーマンにも実額控除可能?/事業所得者の必要経費/家族労働の必要経費性/住居の維持費
  2 誰の所得なのか
   夫婦の所得?/課税単位/夫婦財産契約
  3 「所得」に課税するのか、「人」に課税するのか
   総所得金額/人税としての所得税/基礎控除額で人間が生活できるだろうか/課税最低限のまやかし/配偶者控除論争/医療費控除等
  4 累進税率の意味
   超過累進税率/税額控除か所得控除か/控除から手当へ/給付付き税額控除/住民税負担
  5 所得税をどう改革すべきか
   建前の応能負担/所得の把握と番号/税のグローバル化
 第2章 法人税──税率引下げ競争の行く末
  1 会社の税金の実態
   法人税率は高いか/赤字法人/多い法人数
  2 法人税の仕組み
   法人の所得/会社の建前と法人税/同族会社/受取配当益金不算入/交際費損金不算入/税率/公益法人課税/組織再編税制の台頭
  3 会社の所得は誰のものか
   法人擬制説と実在説/選挙権のない法人/法人税の方向
 第3章 消費税──市民の錯覚が支えてきた?
  1 錯覚する消費者
   痛みを感じた消費税/誰が払うべきなのか/誰に払っているのか──免税業者/誰に払っているのか──簡易課税業者
  2 複雑で、不公平でもある税制
   どの取引に消費税がかかるのか/複雑な税制/消費税は付加価値税/仕入税額控除否認/逆進性と軽減税率/消費税と滞納
  3 どうなるのか消費税
   税率アップと非課税/ゼロ税率/給付付き消費税額控除/高齢化社会と消費税/正規雇用と付加価値税
 第4章 相続税──取得税方式に徹底すべきでは?
  1 制度疲労に陥っている税制
   相続額が同じでも/遺産取得税方式から折衷方式へ/死亡件数一〇〇件のうち、相続税がかかるのは?/法定相続分でまず計算/取得額が同じでも税負担増/連帯納付/右肩上がりの税制/通達で評価/事業承継
  2 相続税をどう考えるべきか
   相続廃止は可能か/遺産取得税方式の徹底へ/相続三代続くと
  3 贈与税の仕組みと問題点
   贈与税は補完税/相続時精算課税の導入/いつ取得したか/法人への贈与は注意
 第5章 間接税等──本当に合理的で必要なのか?
  1 税が酒を造る
   ビール業界と大蔵省のいたちごっこ/分類差等課税/ビールは高級酒?/いたちごっこの終焉?/免許は必要か
  2 たばこ増税の攻防
   たばこにかかる四種類の税/四重課税か/増税で禁煙させられるか
  3 暫定が恒久化する自動車関係税
   引上げは暫定?/特定財源の攻防/環境税化へ
  4 様々な流通税
   各種の流通税/相続させる遺言と登録免許税
  5 不思議な国税
   電源開発促進税/森林環境税
 第6章 地方税──財政自主権は確立できたのか?
  1 地方税の仕組み
   地方税条例主義/不明確な規定/三割自治は変わらず
  2 事業税
    「事業」に課税/外形標準課税
  3 固定資産税
   台帳課税主義/バブル後遺症/家屋はなぜ下がらない/時価に連動すべきなのか/課税ミスの連続
  4 都市計画税
   固定資産税とどう違う/都市計画財源として機能しているか/都市計画への住民参加と都市計画税の再生
  5 法定外税等
   自治体独自の税/実際の導入例/超過課税
 第7章 国際課税──国境から税が逃げていく
  1 逃げる納税者
   タックス・ギャップ/ 「居住者」か否か/住所か国籍か/内国法人・外国法人/税金分捕り合戦
  2 パナマ文書、パラダイス文書の衝撃
   国外逃亡と徴税/パナマ文書・パラダイス文書/国境を超えた税──国際連帯税が出国税に
 終 章 税金問題こそ政治
   反税の義賊=ロビン・フッドは今?/財政ポピュリズムの台頭/毎年の税制改正手続とその公正化
   あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

k5

32
これはいま読むべき本だ、と思って手に取りました。読む前にぼんやりと、そもそも日本の左派政党が消費増税に反対するのって本末転倒じゃない?という気持ちがあったのです。福祉の強化は財源なしではできないですし、次世代への負担の転嫁って政権与党じゃあるまいし、と。読んでみて、やはりインボイス導入の付加価値税として増税した上で、低所得者の所得税からの控除や、年金の増額をすれば公平性は保てると思いました。なので、25%くらいに増税して雇用の維持や事業継続のための補償にあてる党があったら投票します。ないでしょうね。2020/03/29

那由田 忠

23
様々な税金の考え方から説明している点で勉強になる。所得税は、担税能力のものとして課税するのか、人として課税するのかで控除の考え方が変わってくる。人であれば妻や子供がいればその生活費を控除する必要が出てくるわけだ。時々外国の考え方が紹介されているが、私としてはいろいろな税の話よりも、他国の考え方との比較をもっと知りたかった。というのもスウェーデンの税制を知ってそのシンプルさに驚いたからだ。給付付税額控除を日本が取り入れないことが、所得捕捉の弱さと関連するものの、格差是正に不十分な結果となることを知った。2020/01/08

dice-kn

9
すべてをちゃんとは理解できなかったと思いますが(^-^; 大筋はわかったと思います。あと20年くらい復興特別所得税を負担し続けるとか、軽減税率を導入しても逆進性はほとんど変わらないとか、大きな気づきがありました。税金については学校でもある程度教えたほうが良いのではないかと思いました。目先の(自分だけの)利害で判断してはいけないとか、他国との関係とか、一般の人たちもある程度わかるようになれば選挙にも活かされるかなと・・(←偉そうに言って私が知らなさ過ぎるだけかも??)2018/11/20

DEAN SAITO@1年100冊

8
ポピュリズムに陥った政治、それを許した国民、そして第三権力としての責任を果たさないマスコミへの静かな義憤が、ところどころで垣間見える。第二版時点よりも、著者の憂国度合いは確実に強まっているんだろうと思料。2020/08/09

awe

5
税法学者三木義一による定番の書。評判通り、日本の税制の問題の網羅的に紹介されており、基本的な論点を知ることができた。1章は所得税について。所得税とは、「収入ー必要経費」である所得に課税される。そんな所得税には各種の控除があり、代表的なのはサラリーマンに適用される給与所得控除。かかる必要経費の応じて控除があるのだが、これが事業者の場合は経費の実額が考慮されるのに対し、サラリーマンは概算の法定額になる。社員によって控除額が異なると、会社の年末調整が大変になるかららしい。年末調整を会社がやることになってるのは、2021/05/29

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