動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話

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動物学者が死ぬほど向き合った「死」の話

  • ISBN:9784845916382

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内容説明

シュレディンガーの本質的な問いかけ「生命とは何か」から始まっていることに心底しびれた。「死」をエントロピーから捉え直した画期的な論考。
――― 福岡伸一氏(『生物を無生物のあいだ』著者)推薦!

死なないように進化しないのはなぜか?

われわれが住む地球にはじつに多様な生態的地位があふれている。自己を増殖しようとする大きな原動力、自らの遺伝子を残すための生殖行為の発展、生き残る術と再生能力に長けた生き物であふれているのに、なぜ誰も、死を避けて長生きする方向には進化しないのか。著者は、人生における死が、わたしたちの想像を超えて色々な形で存在しており、死が進化に影響を与えている証を示していく。宇宙があなたに、死ぬ可能性を付与したというのだ。死は何か信じがたいかたちで自然界に溶け込み、自然界に力を与え、多様性に拍車をかけている。

人類は古代から、飢餓、かんばつ、震災、戦争などを経て、争いのなか生き残ってきたが、大人としてたった2時間しか生きることができない動物もいれば、決まった時間が来たら自ら命をたつ特性を持つものもいる。一方で、何百年もの間生きる動物もいるかと思えば、他者に取り付いて残酷な死に方をさせる寄生虫もいるし、長く健康な人生を送らせるために取り付く寄生虫もいる。死は、自然や進化に与えている影響を明確にしながら、限りある命と照らし合わせて考えなければ、到底その複雑な糸を解きほぐすことはできないだろう。

人類はおそらく、「死」が生物に等しく起こるという事実を認識している、地球史上最初の動物である。生命の不思議は「神」でしか説明できないかもしれない。しかし、生命の可能性や人生の意味を見つけ、自分で選ぶことができるのは、人間の特権である。われわれはその特権をうまく使うことができているだろうか。

本書を読む体験は読者にとって、生き物たちの終末と再生を見極めようとする、壮大かつ楽しい冒険の旅となるであろう。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やすらぎ

157
この世に不死の生き物は存在しない。想像できない時間軸で生きるものも沢山いるけれど。自然淘汰、自然循環の一部であるが、人は死を特別視する。長い旅の終わりには、どんな生き物にも自然に戻るための準備があり腐敗があり分解がある。循環のために存在し続ける小さなものもいる。動物学者が向き合った生命の中には、仲間の死を悼み、寄り添い続けたものもいる。残されたものに沈痛の時が流れる。喜怒哀楽は存在している。科学に死を論ずることはできるのだろうか。死にゆく運命にあることを理性的かつ現実的に受け止めることはできるのだろうか。2018/12/31

里愛乍

36
『三十億年にわたる進化のすえ、地上には、生き残る術と再生能力にたけた生き物であふれている。けれども、死は?なぜいっこうになくならないのか?」いやまったく不思議。自然淘汰、繁殖能力、老化より遺伝、寄生生物など、そのヒントとなり得そうなエピソードや情報など、日常を交えたユーモアいっぱいの文章は読み易く、好感が持てる。ただ、生物学的な方面から切り込んできた本書とて、こういった類をテーマにした本の共通点なのか、それに対する明確な答えは無い。なるほど結末はやはりこうくるのか、という思いは拭えなかった。2018/07/26

テツ

28
「何故自分はいつか死ぬのか。死とはなんなのか」といった誰しもがぼんやりと考えたことのある不安についての動物学者さんからのアプローチ。もしかしたらここにいるぼくやそこにいるあなたという個の存在にはたいして意味がなく、生き物が生と死のサイクルを繰り返す意味ってのは生存率が高く強い遺伝子の乗り物を創り上げるためってだけのことなのかもしれない。たかが遺伝子の乗り物がどうでもいいことで悩み苦しみ喜びながら意味など存在しない短い生に対して必死に意味を見出そうともがく姿の美しさに違う角度からまた気付かされた。2018/05/29

pulpo8

17
ダーウィンの進化論の重要な部分だけやたら使わせてもらいました。じゃあダーウィンの進化論読めよ!って話ですね。種の起源、持っているのでいつかは読みます。この本で出てきた虫だったらスガの幼虫が衝撃的。調べながら読むのが楽しかった。けど、この程度で死ぬほど向き合ったと言えるのだろうか…タイトルを訳した訳者に偽りあり。2018/07/29

宮古

14
「死」…についてとても考えさせられたというより、「自然」「生き物」に対しての見方が少し変わった。動物学の知識がないのでそちらの吸収に手一杯で「死」まで気が回らなかったのかな…; 特に心に残ったのは「イモムシと樹木の闘い」の話と「トキソプラズマのマインドコントロール」の話。木はどうやってか己を害する虫を把握していて、それに対抗するための進化を遂げる。虫も然り。木も「生きている」!衝撃で、感動した。ネズミについた寄生虫がネコに食べられるようにマインドコントロールする。自然は人間の考えなど遥かに凌駕している。2018/09/20

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