内容説明
和洋中、四季折々、多種多様の料理をレシピと共に味わうグルメ小説の元祖。明治期空前のベストセラーを読みやすくコンパクトな現代語抄訳で初めて文庫化。
美味しくてやめられない、これぞグルメ小説の元祖――
若き大食漢・大原と、料理に凄腕を発揮する妙齢のお登和のラブロマンスとともに、
和洋中、四季折々、膨大な数の各種料理の調理法を蘊蓄たっぷりに紹介。
前代未聞のその手法と、滑稽味あふれるストーリーで絶大な人気を博した本書は、実用性を貴び家庭料理の近代化を説く、先見的な食の啓蒙書でもあった。
食材、調理器具、栄養学、衛生にまで及ぶ圧倒的な情報量から、
嫁入り道具としても重宝されたという明治期空前のベストセラーを、
読みやすくコンパクトな現代語抄訳で初めて文庫化
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
56
吃驚するほど時間と手間のかかる料理の作り方が分かる。後に弦斎は断食や木食にはまった時期があるのも分かると思いたくなる料理の数々だ。大隈重信邸や岩崎弥太郎邸の台所とそこで働く人の挿絵を興味深く見た。弦斎のお嬢さんの米子さんが昭和51年に抄訳されたものなので読みやすい。が、大原氏の結婚はどうなったのか気になる。2020/07/07
keroppi
54
横田順彌「平成古書奇談」に出てきた本。明治時代に書かれたものを娘さんである村井米子が現代語抄訳している。だから、「平成古書奇談」で語られていた蛇の料理は出てこなかったのか。それでも、ここで取り上げられる料理の幅広いこと。西洋料理の数々から、簡単な料理まで。牛肉の部位の説明まである。さらに栄養学や食育についても触れている。巻末の解説に書かれていた「食物の原則」「料理の原則」「食事法の原則」は、現代の食生活にも当てはまることだなぁと思った。2025/08/13
まこ
8
家庭料理からレストランで出るものまで、コレ一冊でレシピとして十分使える。料理を通じて食材の使い方や明治期の日本をどう考えるかも書かれてる。大原さんの親戚一同はアレで納得したのだろうか。2023/03/29
nyanlay
7
恥ずかしながらこの著者の名前を初めて知りました。なかなかの多才多趣味な方だったようですね。今この時代に読んでも理に適った調理法が多くて驚きました。『美味しんぼ』の小説版のように説明が多く、途中中だるみしそうになりました。2018/11/22
もべ
5
①お登和さんの気持ちがよくわかってつらくなる。最終的にどうなったかわからないけどそれが嬉しい。きっとハッピーエンドになったと信じられるから。 ②明治時代に既にカロリーという概念があったことになんとなくびっくり。 ③明治村に行って、実際に食道楽の再現&アレンジレシピを食べてきた!カレーパンはサクモチで、挽肉のコロッケはサクトロでとても美味しい。本のコロッケのレシピを読んでいると、なるほどだからあんなにビーフシチューみたいにトロトロなんだって感動した!2024/05/12