内容説明
早稲田大学ラグビー蹴球部、創部100周年。本書は、まさに早稲田ラグビー部の本流を当時の匂いまで再現している。──清宮克幸氏。「ひとつしかできねぇ」不器用だが常に全力、そんな福島のツッパリ少年、草野点は高校でラグビーと出会う。上京し早稲田大学に入学した彼は、日本一を目標に掲げる伝統のクラブの一員となった。「グラウンドを一秒でも歩くな」それが早稲田。技術、体力、精神力。目指すべき高みは遠い。凄絶な練習の描写に、OBからレギュラー、補欠にも貫かれる早稲田ラグビーの本流が宿る。武骨な青春小説。
目次
第一章 春の北風
第二章 俺、何?
第三章 青いタオル
第四章 グラウンドの無限
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
5 よういち
104
◆福島県の元不良・草野点は進学した高校でラグビーと出会い、早稲田大学でもラグビー部へ入部する。草野点を中心に早稲田大学ラグビー部での一年間を事細かに描写する。◆流暢ではないが、アルバムやスライドを見るように、パッパッと場面を切り替えながら進むような語り口調が小気味良い。各ラグビー部員の生い立ちやエピソードも豊富で感情移入しやすかった。たった一年間を泥臭く長編として綴ったのは見事だ。読み終えた時、私も早稲田大学ラグビー部の一員として、一年をやり遂げたような気がした。◆2019ラグビーW杯開催目前に入手。2019/10/29
あきぽん
65
ラグビーワールドカップの前に、ラグビー用語に骨を折りながら読了。これは100%体育会系小説で、彼らは女の子にもてたい気0%です。男臭い、むさい、泥臭い、暑苦しい、早稲田愛が鼻につく。そういうのが嫌な人にはオススメしません。私は結構好きですが。80年代が舞台のため、解説は当然ながら清宮パパです。2019/09/04
ぷう蔵
36
ラグビーW杯ということで本屋さんもラグビー特集、平積みしてあったので買ってしまった。面白かったですよ。かなりリアルな内容だと思うが、時代は少し前なので、現状の早稲田大学の状況とは違う部分も多いことと思う。自己犠牲で潰され、後ろの人間が前に進む道を作る。託された人間は潰された者の分も背負って前へ進む。それぞれが役割を全うし最終的に成果を上げる。なんか日本のビジネスマンって感じよね。今回のW杯の予想以上の盛り上がりも何かしらのシンパシーの現れなのだろうか。2019/11/01
hope
34
★★★★ なんだ、この灼熱のような北風は! セーターの季節に半袖で読める。早稲田大学ラグビー部の入学生が過ごす一年。直向きな雑草は逞しく育つ。反骨と憧れ。戦友たち。しごき。妥協なき猛練習。鈍い音と痛み。罵声。つかみ合い。スクラムという名の頭突きバトル。出血と止血の永久運動。気迫という生命体が人格を得たような突進。「暴れろ!」情熱は獰猛で、もはや狂気。高貴なる無様は、美しい。2018/11/20
Walhalla
28
私の大好きなスポーツライター、藤島大さんの作品です。早稲田大学ラグビー部の創設100周年にあたる年に出版された作品です。主人公はラグビーでは無名の高校出身ですが、名門早稲田大学ラグビー部に入部してからの1年間が描かれています。試合のシーンよりも練習のシーンが圧倒的に多いですが、ラグビー好きにはむしろこの方が楽しめるかも知れませんね。藤島大さんの渋くて上品な語り口そのままに、若きエネルギーを感じる作品でした。2023/04/25