内容説明
徳田虎雄がまだ9歳だったある日の明け方のこと。3歳の弟の往診依頼のために、故郷・徳之島中の医師を駆けずり回るが断られ、弟は息を引き取った。夜間診療も休日診療もない時代。命が助かるのは裕福な家庭に限られることを知った徳田は、誰もが平等な医療を受けられる病院設立を目指して医師となり、昭和40年代から徳洲会病院を各地に設立。医療過疎地での病院設立や24時間・365日診療など、当時の概念を覆す施策が患者の心をとらえ、徳洲会グループは巨大病院に発展する。徳田はさらなる医療改革を進めるために政治の世界への進出を図るが、既得権益を次々に破壊された日本医師会は激怒。徳田の政界進出を阻むべく、対立候補を立て、対立はいよいよ激化した。本書は、こうした徳洲会と日本医師会の闘いの舞台裏を明かすために、新聞記者や雑誌記者として数々の医療現場を取材してきた大平誠が当時を知る関係者を徹底取材。現在までの医療改革の真相を究明した書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しあん
18
まさに世界の病院王の激しい生き様が書かれてました。2019/12/08
templecity
8
幼い時に奄美大島で金持ち相手しか対応しない医者に見捨てられ亡くした弟の話が原点で、患者の命を救うのが最も優先すべきとの考えで行動してきた。阪大医学部を卒業し、医療法人を立ち上げ、次から次へと医院をつくり、都会での利益を元に離島にも立派な医療施設を作った。医療を等しく広めるとの考えで、時には秘書や病院の職員なども厳しく使い、選挙違反で摘発もされた。患者優先で信号無視をしたりと順法意識は薄いと指摘されるが、ひとえに患者第一の考えによるもの。(続きあり) 2018/12/02
次郎作
5
医者として働いていれば、知らない人はいない徳洲会グループ。昔鹿児島に一人旅していた時に、地元の人はかなり徳洲会の病院に感謝していることを聞き気になっていた人であった。内容は伝記としては、あまり深くまで追求していないが人生のさわりだけを読んでも、めちゃくちゃ面白い内容であった。 他のしっかりした伝記を買って読みたくなった。 あと、アフリカの病院設立にも動いていたのは知らなかった。 「いのちだけは平等だ」をちゃんと貫いていたんだと知って、自分も見習おうと決心した。2018/11/08
tekka
1
ブラック企業の経営者によくいるタイプの、無能なコントロールフリーク。2021/02/02
かにーじゃ
0
「自分のやりたい医療を実現するためには、政治家にならなるしかない」と思い、苦労して国会議員になったのは、すごいな。 汚い事もやったっぽいが、自分の理想の医療のために熱い人だったのだということは、事実だろう2020/11/28